"実力経験値"

俺は既に体力は限界を超えていた。滲む汗、両手はマメが潰れてヒリヒリ痛さ、腕や脚は棒のように筋肉が固く硬直したようにパンパンに腫れ上がっていた。


既にぶっ通しで五時間ぐらい戦ってる、体力も精神的にも限界を感じていた。



「はぁ、はぁ、はぁっ」

「今日はやめようか、肉体が限界に達してるしそれこそ判断鈍るわよ」

「へへっ、フィリスは優しいなぁ」

「な、なによっ!? 人が親切に言えば優しくないみたいな言い方するのよ!!」

「俺の師匠は厳しくてな、術式を得るまで大変でな」



過去を思い返せば、平凡人で喧嘩は負け口引いてばかりの人生に嫌気をさして強くなろうと思い術式の門を叩いた訳だ。

まぁいい思い出は無いな、うんうん。



フィリスは息を切らしてない、あれだけ激しい動きでも平然としている。凄い。

俺の視線に気づいて可愛い笑みを浮かべている。クソ可愛いな。



「こんなぐらいで悲鳴あげてたら転生後のは難しいわよ」

「転生後能力?」

「転生前の力や知識、それらの経験は能力として変換されるのよ」

「そうなのか?」

「うん、だから君には頑張って貰わないと私も困るのよ」


なにやら期待されている、ならば答えなければ俺は頑張れないな。

癒しは目の前にいる、そう、可愛い=女神。

あとは、あのラグナログに罵倒されたから罵倒し返さなきゃな。



神殺戮剣ゴッドブレイカーは仮称で正式名は神殺しで良くない?」

「いいわけないでしょ!!」



フィリスの優しさに俺は嬉しさを感じていた、とゆうかここまでする女神いるだろうか。だが、その神殺しは女神であるフィリス的にも大丈夫なのか?



そんな素朴な疑問があるが、一方フィリスはなんと空中で書類を受理していた。なんと仕事熱心なんだ。少し腕が楽になった俺は鉄塊を持ち上げて、俺はフィリスにこう訊ねた。



「なぁフィリス。その通称神殺しの能力はさ、んじゃないのか?」



フィリスは終始笑みを浮かべてた、次第に真顔になり書類を指で弾く。



「目的を知りたいなんて、さすが変態さん」

「変態じゃない! 俺はロリみたいな可愛いのが好きな健全者さ」

「アウト」

「ぬぐぁぁぁぁ!!」



フィリスはクスクスと笑い、ただただ流れる様に話した。



「私の目的は、ラグナロクを救う為よ。それ以上も以下もない―――」



フィリスは悲しげな表情だ、これ以上理由聞いたら無意味な感じだ。

ただ、あのラグナロクを倒すとしたら正直天も地も離れた破壊神。 それを救うとしたら無謀でもある。


倒す為の力か、救う為の力か―――。


俺自身それを問われたら、難しい究極選択肢。 ロリはただのロリじゃない、この石門を何とか突破できる答えを探さなきゃならないか。


俺は考えていると、頭に何か当たり落ちる。

小瓶に緑色の液体が入った飲み物だ。


「ポーションよ。なーに悩んでるか分からないけど、その顔似合わないよ」

「人が真剣に考えてれば、お前なぁ」

「それはどうゆう意味?」

「君はそれでいい、早く飲んでねそれ。でないと三日間トイレに篭る羽目に」

「それは勘弁してくれ!!」


フィリスに笑みが戻る、あの悲しげな表情を俺は覚えとく事にした。なんか色々やらかしそうで不安になる。


「まじぃぃぃぃ!!!」

「私の作ったポーション吐くな!! 汚い!!」

「だってこれ、変な味オボボボロ!!」

「ぎやぁぁぁぁ!!? 私の部屋に汚い汚物撒き散らさないでよ!! 」


それから丸一日経過した、俺が剣閃が的確になるまで扱えるようになった頃。



「今度こそ負けねぇぞフィリス!!」

「言っとくけど、まだ?」

「んな事はわかってる、行くぞ!!」


俺の身体はボロボロで振り抜かれ続けた鉄塊は、手汗で錆びて刃も欠けていた。

鈍とも言えるその剣で、フィリスの青い剣の連撃を受け流し続ける。




一、二、三、四――――。


フィリスには、僅かな隙が必ず五連撃目に仕掛けてくる。


フィリスが五連撃目になった瞬間、穿つ様に突きを放つ。


五!! ここだ!!



バッキン!!


フィリスの突きを俺は鉄塊を盾にして受け止めた――――。


俺は鉄塊の柄を持ち替えて上に弾いた、僅かに浮いたフィリスの細い腕。


ここだ!! これで決める!!


その隙を逃さない鋭い眼差しで両手を力任せに鉄塊を振り抜く―――。



孤月斬ムーンブレイド!!」



青い斬撃がフィリスの顔を掠る―――。



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