侵略計画 (殉教者侵略・Ⅰ)
主要都市ミッドガル、そこで爆発が起きる遡ること二時間前――――。
とある森の奥に佇む古民家、黒いフードを深く被る少女が一人。古びた扉の前に立つ、雨などで水分を含んだ扉の木面は膨張されてドアは開かない。
「アグネス」
その名を口にした一人の少女、同じく黒いフードを深く被っていた。
「キャサリン来たのね」
アグネスは後ろを振り返る、キャサリンは扉の前に立ち止まり優しく撫でながらこう言った。
「殉教者となって全てが失われた、私達は何をしてこうなったのか。ただ、神を崇めて信仰をしていたのに。新聖教祖が出来て私達を追放して、多くの仲間を失って、たくさんの血を流した。あぁ、これは
アグネスは無言のまま腕を組んだ、そして、空を見上げて静かな声で一言。
「全てに罪に鉄髄を粛清の時間――――」
キャサリンは、魔法を扉に向かって放った。
扉は消し飛ぶように吹き飛んだ。
「では始めよう。全ての罪人に裁きを―――」
爆発が起きる一時間前―――。
「例の古民家が爆発された! 直ちに、殉教者達を捕らえろ! 生死は問わない、戦闘時に発砲や魔法を許可する!!」
「「イエッサー!!」」
ギルド直属警備員が、主要都市ミッドガルの入口付近に向かって駆ける。
そんな慌ただしさに、居酒屋にいるブライザーとルークの父アルトは動じずに酒を飲む。
「なぁ、アルト。あの時取り逃した殉教者は何名だ?」
「ザッと言って十名は居たな、それも中々強い奴らだ。殉教者の幹部クラスだ」
「ふむ、ならば問うぞ。アルト再び
「何を冗談言ってやがる。俺は騎士団から追放されてるの分かるだろ?」
「だが、事態は事態だ。俺は必要に応じて戦力になって貰いたいな。まぁエロを追求して追放されても領土主は変わらんだろ?」
「あぁ――――」
轟音が鳴り響き、居酒屋の窓ガラスが割れる。ヒィッ! っと居酒屋マスターは頭を守りテーブルカウンターの下に隠れた。
そして、黒いフードを被った人がドアを開けて居酒屋に中に入り言う。
「さぁ、降参しなさい。命だけは助けてあげましょう、抵抗すりなら殺します」
だが、ブライザーとアルトは座ったまま会話を続けた。
「構わんさ、俺はあんたを追って騎士団に入ったからな」
「はっ、何を言いやがる。お前の立場を思って言ってるんだぞ」
「立場やらなをやら、んな事言ってる暇はないさ」
黒いフード姿人は会話中に割って入る様に強い口調で言う。
「貴様ら話を聞いていたか!! 争う気ないなら手を挙げて店の隅に行け!!」
アルトとブライザーはゆっくり手を挙げた、黒いフード姿の人は近付いてくる。
「相変わらず話が分かるヤツだなブライサー」
「そりゃどうも」
「貴様ら話を――――」
アルトとブライザーは同時に後ろを振り向いて互いの拳を振り抜いて黒いフード姿の人を吹き飛ばした。
「ウィスキーが不味くなる、邪魔すんな」
「大人の大人な話中だ、エロスの会談を邪魔するなら容赦しない」
「な!? エロスだと、そんなことより身の警戒を――――」
「「うっせぇ今賢者タイムなんだよ!!」」
殉教者を黙らせた後、二人は店の外へでた。辺りは火災、荒くれる火。
全てを焦がす、響く悲鳴、轟く轟音、そして、殉教者の集団が市民を殺害していく。残酷さが物語る、転がる遺体は黒く何かを纏い、別の生物へと変貌、そして人を襲う姿はまるで理性がない魔物だ。
そんな光景に、ブライザーは腰にある白い剣を鞘から引き抜き構える。
「なんなんだあの化け物は? いや、それよりも――――殉教者こんな勢力あるはずは無い」
アルトは背に備えてる両手剣を引き抜いた。
「十年ぶりか? 魔王側がで迎えに来るなんてな」
「魔王だと? 滅んだんじゃないのか」
「――――さぁな。ただ、聖騎士団と側から流れた殉教者達に甦らせたとしたら有り得るだろ」
ブライザーは苦笑い浮かべた、まさか自分達の騎士団は殉教者達と関わっている事に嫌でも思いたくないものだ。いや、魔王まで蘇らせるとは世界的に大問題だ。
「なぁに安心しろ、この人界は俺が守る。誰一人死なせやしない!」
アルトからの熱気に、ブライザーは圧される。すると死角から殉教者と"魔物"のタブルアタック。ブライザーとアルトに襲いかかる。
ブライザーとアルトは振り抜き殉教者を貫き、"魔物"は切り裂かれた。
「考えても始まらない、やるしかないだろブライザー」
「絶望過ぎるだろ、こんな数を相手するのは―――」
「なき泣き言いうな、死の兵だから無数に増える」
前方は黒一色、殉教者の信者達だ。
成れ果てた魔物は、どっから湧いてくるかわからない状態だ。
「さぁ殺るか!!」
「あぁ!! 行くぞ!!」
ブライザーとアルトは地を蹴飛ばして走った。
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