主要都市"ミッドガル"

見たことがない地形と見たことがない建造物。それはまるでおとぎ話に出てくるような中世期ローマ風の建物と街並み。

露店で商売を営む活気があり、馬車や人の行き来なんて主要都市ならではって感じだ。



ルークは父にミッドガルに連れられていた、場所はそう遠くはない。自分が住む村から東に数キロ範囲だからだ。



外装はお城のような高く白い壁で、内側は宿屋や民家などの建物が沢山ある。その中心部には噴水と銅像と時計台。



ラノベ系小説でよく見る異世界転生、まさにその世界に自分がいるのが嬉しさがある。

え? なぜそんな場所に居るかって? そりゃ父に連れられてきたのさ。徒歩で。



「それで要件って何?」

「大人の都合、母さんには内緒だぞ」

「大人の都合ね? 腰に侵食されてる雑誌はなんだろうな、


十八禁雑誌エロ本である、この世界では少しばかり人気な雑誌。新聞とは違う書籍風の薄い本。


「ルーク、大人というのはそうゆうもんだ。ムフフなうふふな本は神だ」

「紙だけに神かよ」


ルークは呆れ顔を浮かべていると―――。


「アルト・ファルサー」


そう父のフルネームを呼んだ。目の前に一人の男性騎士、父は笑みを浮かべて反応返す。



「お? ブライザー。見回りか?」

「あぁ、そんな所だ。ってその子は?」

「俺の息子」

「息子か、そっかそっか―――っておい!?」

「なんだよ?」

「いつ息子出来た!? あと結婚したのも俺知らねぇぞ!!?」



父達はそんな感じでワイワイ会話してると、ブライザーのひょこっと顔を出す銀髪女の子。



「やぁ?」

「―――っ」


ブライザーの足元に隠れた女の子、俺は首を傾げてると父が言う。



「ブライザー、その子は?」

「あぁ、スラム街で拾った子だ。しかも、獣人の子さ」

「珍しいな"ミッドガル"は人界なわけで獣人が捨て子とはな」

「あぁ、父親代わりの世話役さ。サーニャ大丈夫だよ」



この世界は九あるとされてる、種族もそれなりいるわけである。特に獣人族は孤児や人種差別はよくある話だ。



スラム街は捨て子が暮らしている。

親に見放された子達は、保護活動してる旅人などが面倒をみている。

だが、稀にこの子の様に人に怯えて警戒する奴も少なくはない。



「ルーク、ちょっと席外すから露店街回ってろ」

「はーい」

「アルト、いいのか?」

「あぁ。お前から手紙見たからこうして来たのさ。要件聞こうか」

「酒場でな。サーニャ。この子と一緒に少し居てくれないか?」

「いや」



ブライザーはしゃがみこサーニャと同じ目線になる。


「サーニャ」

「ブライザーが居なきゃ私」

「大丈夫、怖くない」

「うん」

「なんかあれば言って、焼き殺すから」



ブライザーの笑みが怖い、ガチめの父の笑みだ。



「さて、行くとするか」

「だな」


ブライザーは立ち上がり、父と顔を見合せて一直線に居酒屋に向かった。


ミーニャと俺はポツンと立ってしばらくしてから「どこかいい所ない?」っとルークは訪ねると「あっち」っとミーニャは指を向けて答えた。



ミーニャ指向けた先に向かい、二人で歩く事約五分。白波が静かに押し寄せたり引いたりする白い砂浜。そして、木造建築の一軒家がにあった。



「ここ、サーニャが住んでる。おじさん中に居る」

「でも、どうやって中に入るの? 海の家だけに海の上にあるし。どうするのこれ」

「ん、任せて」



そういうと、サーニャは息を吸い込みこう叫んだ。



「ツルツルおじさん出てきて!!」


え?っとルークは終始固まる、いや、合言葉だろうけど"ツルツルおじさん"は無いだろ!? っと内心突っ込んだ。



しばらくすると「誰が"ツルツル"じゃ!!」っと雄叫びが聞こえて、砂浜からガチャっと音がなり黒い肌のツルツルおじさんが押し上げて居た。



「今、毛根は休業じゃあ!! だから、ツルツルじゃねぇって言ってるだろうが!! サーニャ!!」


いやそこじゃない、海上に家あるのに砂浜から入口あるのが謎だぞ!?


「退化じゃないの?」

「退化じゃねぇよ!! 毛根は休まなきゃならない日があるんじゃ!!」

「えー」

「えーじゃない!! この白い砂浜のようにサラサラした頭皮が全て物語るんじゃ!!」


このやり取りは、ボケとツッコミのやり取りしかないのだ。黒いツルツル頭のおじさんは、ようやくルークの存在に気づき「なんだ坊主? フサフサヘアーで何の用だ?」っと眉間にシワ寄せてガン飛ばししてる。



「ツルツルおじさん、サーニャにここに案内されてきたんだ」

「だぁぁぁぁかぁぁぁぁらぁぁぁぁ―――!! テメーらは、俺のハゲをツルツルって称するなぁァァァァ――――!!」


ラムネ瓶を武器の様に構えて走り出すツルツルおじさん、殺意の眼力で脅迫レベルだ。身の危険を感じて俺は砂浜を逃げ回った。



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