研究施設
空から雪が降り更に白い横殴りの風が、吹き荒れている。
雪道で更に先に進んでるか、分からなくなる。錯覚。だが、この先にあることはわかっている。
ザクザク―――。
くそさみぃが、ひと仕事だ。裏側の世界から調査依頼、この地下にはとんでもねぇ実験体があるらしいがぁ。
ふん、俺は反社会組織に加担してる訳じゃねぇが。利用する為に俺は"手駒"さ。
けどな、そのまま飼い慣らされたままじゃ食い下がらねぇよ。奴らの悪事を捌くまでな。
にしても、依頼は数知れずだな。ギルド管理局の奴ら、仕事してんのか?
まぁいい、
だが、この依頼――――不思議だな。
差出人不明、俺は利用されているのか? いや、それは無いか。あのバカを信用してる訳だしな。
で、だ。 今向かう研究所、いや、的確には"跡地"だ。このヨツンヘイム―――巨人族の国な訳だがここでさっきも言ったが実験体の為の"実験"があったらしい。しかも理由は神を作る為だ、バカくせぇな。まぁ
ザクザク―――。
見上げた建造物は朽ちている、無惨にも巨人族に一撃貰った様な風穴ができていた。
「こいつか、ハッ――――。やりやがるな」
扉には――――歪んでるが施錠されている、当然パスワード式の難解物だ。 だが、俺にかかれば―――。
俺の魔法にかかれば朝飯前だ。さて。
無数の数字が画面に表示されるが、ここで使うのは奪った研究員のカードキーだ。
まぁこの辺で野垂れ死んだ死体から回収したんだが――――。
ピ―――――。 ガッシャン。
ビンゴか。扉は不規則に開く、その中へと俺は踏み入ると―――科学的な臭いが鼻を貫く。だが、俺はそんな悪臭よりもこの周りにある設備がどうも気になる。
「フン、魔法省の奴らは非道な奴らばっかだな。人体実験なんてして、神化人類―――新人類なんぞ作るとか頭がイカれてやがる。なぁ? カイト」
カイト―――本命はベルク・カイト。魔法省の補佐官であり、俺の故郷を奪った人物だ。
俺の故郷―――炎の国ムースヘルムにある村に住んでいた。まぁ、今は消された世界の一つだが実験として無差別殺傷した人物であり――――今回の研究所を設立と非道な計画を考えた一員だ。
俺に因縁しかねぇんだよな。まぁ、ヨツンヘイムに魔法省の実験施設が幾つかあるらしいが――――その"一号機"みたいなのが今いる場所さ。つまり、資料を読み漁り奴らのけつ毛をむしり取るだけだ。
路をただ真っ直ぐ歩き、錆びた扉を蹴飛ばした。本棚にはファイルがびっしり詰まっている、さてどれから見ようか。ん?
ある資料書に目が止まる"神化検体計画"と書かれた表紙。手に取り肩手に開く、研究内容を眺める。
―――研究一日目―――
検体女性
コルネ・ディバース・四世
年齢三歳
身長百センチ
検体希望は親から、ある国王の依頼だ。
"神を倒せる逸材を私は作りたい"
父親が言うには狂った思考、そして幼き子を検体として扱うのは悲しみ以外は無い。
多額な金額をつぎ込まれ、親という立ち位置にしたら赤の他人レベルの扱い。
この子、王女なんだよな。辛み。
――――検体四日目―――
新たに検体は現れた、今度は獣人。
検体女性
キャトラ・ルータ
年齢四歳
身長七十センチ
猫耳ロリっ子、破壊力しかない。
ただ、この子の出身は不明で行く宛てがない所魔法省に拾われた。 あぁ、惨いヤツらだ。
――――検体一週間後―――
コルネが力を目ざめた、しかし暴走してしまい。職員数名激突死。
与えた力は"精霊"の力、ルーンに込められた魔力は想像以上だ。
キャトラも、爪が刃物並に鋭くなり身体能力は向上した。 結果は成功だろう。
――――検体一ヶ月後―――
巨人族を殴り飛ばしたコルネ、しかし、神となるとこんなもんじゃない。いや、むしろこの子の体は既に限界だ。
キャトラは肉体が耐えきれず、力を暴走して職員を皆殺しにして射殺された。惨い。
魔法省は何を考えてこんな計画をしたのだろう? 私は、こんな悲しいのをただ見ていた。
観察日記はここで終わるが、次はもっとすごいらしいが嫌だ。
肝心な資料は無く、あったのは検体資料だ。
一人は運が無かったのだろう、ただ、巨人族を撲りとばす怪力は異例だ。
まぁいい、こっから先は地下は実験室になる。 ゴミがわんさか出迎えてくれるだろうなぁ。
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