地下実験室
内部奥へ入り右手を曲った突き当たり、下に通じる階段がある。五年の年季を感じさせる朽ちた手すり。
螺旋状に作られた鉄製の階段を降る。 見渡す限りは、無地なコンクリート壁。 敵様の出迎えもなし、つまらないもんだ。
にしても、構造からして錬金術の作りか。
錬金術はありとあらゆる物を作る奴らをそう呼ぶ。更に降りて螺旋階段の中間辺り、右手にどっかに通じる一枚扉がそこにある。ドアノブを触り捻るが"重さがある"
さて、どうしたもんか。サビサビで回らないのもあるが仕掛けてやがる
恐らくだが、扉の裏側に爆弾ある。悪趣味過ぎるなぁ、まあいいその遊びに乗ってやる。
ガチャガチャ―――――。
ドアノブを引くと、見事に爆発して俺に直撃。だが、俺には効かねぇ。
「へ、火力よぇーな」
魔力を魔法に変換して防御の出力を最大にして弾く。あぁ。 便利な魔法で我ながら笑える。まぁ俺の魔法は防御主体で硬化系。自分の周辺をバリアと拡大、触れたもんを硬くしたりそれを飛ばしたり――――破壊も出来る。"最大の攻撃は防御"って言う様にな。
さて、この先に何があるんだ―――?
物つまらなそうな眼差しで、ズボンを手を突っ込みながら歩く。 怪しい色を放つ蛍光灯が通路を染める、ゾクゾクして悪くねぇ。
一直線歩く、ある一室自動ドアが開く。そこしかねぇんだが。その部屋に入り見上げると、ぶったまげた。何かの人体が壁に杭で打たれていやがる。
ほぉ? なんだコイツ?
一歩前に進むと何かを踏んだ。足元を見ると、破れた書類と床にガキが落書きがある。
その書類を手に取り俺は眺める。
――――
ほかの種族の肉体をありとあらゆるに人体に与える事により、狂人化する人間が完成する。これを新人類と我々は呼ぼう。
更なる力を、抗う力を、我々は託そう。
この命を捧げてても。 生贄を捧げつづけて、彼を神化する――――。
ふん、ほかの書類はボロボロで掠れて解読不可能だが―――――こいつは材料だ。
俺は杭で打たれてる人体を眺める、生きてるのかさえ分からないその光景に増悪な笑みを滲ませる。 こいつは傑作だ。
ピピッ――――!!
着信音、ウィンドウを開き通話ボタンを押す。俺はだるそうな声で通話相手に発した。
「今更何の用だ? つまんな過ぎて地下中層まで来ちまったぞ」
《まじかよ、よく潜り込んだな。それで何か見つかったか?》
「いや、これと言うのはなかったが。まぁいい素材のデータは送る。それよりも変なもん見つけたぜ」
《変なもん?》
「あぁ、有り得ねぇ開発人体さ」
瞬きしたのをスクリーンショットされて保存されてる。画像フォルダをタップして相手先に送信する。 このリングは魔力で動かせる出品物。まぁ元は魔法通信端末の一環だったんだが―――魔法省がそれを認めなかった。 今や売ってないが、まぁ替え玉方式でこのリングは世界では流通してる。あぁ、俺のリングは違う特殊なもんだがな。
《中々の資料じゃねぇか。にしても、この人体は―――惨さの塊だな》
冷静な声だ、ちと反応がつまんねぇな。
ん?
その人体の手がピクッと動く。
カラン―――カラカラン―――。
杭は落ちて鋼鉄音を鳴らす、この人体を"人ならざる者"っと仮名にするか。通話は残念だが終わりだ。
そいつは床に着地する、顔は無い、肌は白い。四足歩行で不規則にペタペタと歩く―――。
「――――!!」
俺に気づいた途端に人ならざる者は高く飛び上がる。俺に向かって拳を振り抜いた。
バッキ――――!!
俺は魔法でバリアを放つ、人ならざる者は勇ましい腕が無数に振り抜く。
バキバキ――――!!
俺は魔力を上げてやがて半透明なシールドを作るが――――。
ピシッ!
半透明な
「けっ、 少し骨あるやつ来たか。 安心しろ俺の魔法は防御メインだ。直接てめぇに攻撃は与えねぇが―――あまりの硬さに骨イカれっちまうけどな!!」
俺は悪魔な楽しさの笑いながらそう口にした。だが、奴は手段を選ばない。
魔力を最大に変換して――――魔法に変換して弾いてやる。
拳をバカの一つ覚えの様に振り回す。そして、俺のシールドを鷲掴みする。亀裂少しずつ指圧で入る。
「はっ! 魔法を鷲掴みする奴は初めてだな。ならよ、俺様のデコピンはどうだ?」
俺のデコピンは、弾いた分だけ巨大化してそれを音速で飛ばすもんだ。 壁自体が真正面から飛んできたと思えば話が早い。
魔法だからよ、加減は難しくてなぁ。 そら透明シールドがお迎えだ!!
人ならざる者に、デコピンを弾いた。
吹き飛び、壁に向かって激突する。
「ふん」
圧迫して骨が折れたに違いないだろう。
俺は後ろを振り返り、歩き出した。その時だった。
「き、き、キシャァァァァ!!」
「あ?」
俺は耳を両手で塞いで、後ろを振り返ると人ならざる者は二体に増えてやがった。
ゴキブリかよ―――!?
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