最下層

「分身か? いや、どうゆうこった? "増える"なんてありえんのかよ?」



ピピッ――ピピッ――。


端末からの着信音、タイミングが良過ぎる。

だがさすがき俺は――――ウィンドウを開かなかった。なんせ、絶賛二匹を相手しているからだ。



ガガガガガガガガガガッ――――!!



マシンガンの様な拳の連撃に、軽く舌打ちした。耐久的に長く持たない。

俺はシールドを拡張した。人ならざる者は吹き飛ばされて、俺は床を蹴飛ばして高く飛び右手に魔力を集中させて魔法に変換。

白いオーラが右手に纏う、身体を思いっきり逸らして振り落とす―――――。




拡張防御スーパーシールド!!」



拳から放たれた拡張シールドは、人ならざる者を押し潰して床を崩壊させた。



底深く先が見えねぇが――――まぁいい最下層に通じるなら落ちてやるか。

勢いよく降下。床が見えて来たタイミングで、防御魔法でぶつけて反射させる。着地威力を緩和出来る。あぁ、楽だな。




「――――よっ。奴らは瓦礫の下敷きになったか」



床は人ならざる者の跳ねた血と瓦礫の下敷き。まぁ当然なんだが――――辺りを見渡すように眺めてみたが特に変哲もない倉庫か?ハズレを引いたとかよせよな。

まぁ薬品くせぇな。倉庫じゃねぇか、人体実験してた場所に違いはねぇか。っと、なんかねぇーか?



俺はしばらく歩き回ると、一つの人体実験ビーカーの中に沈む全裸の猫耳少女が目に止まる。



俺は驚く。確かこいつは報告書に書かれていただ。



試験体としてここに入れられたのか?

奴らの捕食材めしにしろ、魔法省の悪趣味ぽさが滲むな。だが、こいつなんでこんな場所に――――? ケッ、考えても仕方がねぇが―――――。




俺は人体実験ビーカーを思いっきり殴った。



ピシッと亀裂が入り中にある水は抜け落ちる、更に防御魔法で砕いた。



「俺は人救うのは趣味じゃねぇが。ただそこで眠られても困るもんだ。起きろガキ」




瞼をゆっくりと開く、蒼眼の様な青く澄んだ眼だ。俺を見るなり呑気にあくびをする。




「ふぁ―。 あれ? 私生きてる。 およ!? か、体が色っぽい女の子に!!? 何があったの私!!」


騒がしいガキだ、俺は威圧的な眼差しで睨む。



「目覚めたなら、何か着ろ。 小さな胸を見る人の気持ちになれ」

「小さな胸!!? し、失礼ね! わ、私はナイスバディの女の子よ!!」



強い光で胸などをカバーしてるが、力説するぐらいでかいわけでもない。 揺れない胸。

にしても、俺を見て怯えないとは―――無邪気さがそうするのか?



「もふっ!?」



俺は上着をキャトラの顔に投げ捨てた。



「そいつでも着てろ」

「君って優しいんだね?」

「あ?」

「ひぇ!? ごめんなさい!!」

「みそぼらしい乳見たくねぇ」

「にゃガーン!!」




ゴオン―――。



何か音が鳴り響いた、床は小刻みに揺れる。

少女は俺の足にピッタリくっつき離れねぇ。



「――――なにしてやがる」

んだよ?!」

「は? 奴ってなんだ――――?」




ズンズン―――。



重低音が鳴り響く、どうやらかなりでかいブツがこちらに向かってるみたいだ。

あぁ、奴は巨人族の事か。




「―――戦うにしろ、巨人相手じゃ無理か」

「な、何さっきの!?」

「てめぇは俺から離れろ。話はそこからだ」

「あ、ごめん。 久々に話せる人いたからつい」


猫耳少女は俺から離れた、とりあえずこの場を離れないとだな。ん――――?



瓦礫を押しのけて人ならざる者は、数を十体に増やした。 ヨダレをダラダラと流す。

こいつら、無限に増えんのかよ!? ゴキブリ加点なんて知らねぇ!!



「ひぇ!? な、な、な、何あれ!?」

「うるせぇ! 黙らなねぇなら舌引き抜くぞ!」

「ひぇぇぇ!!?」



俺は再び防御魔法で吹き飛ばそうてとするが、回避する動きは先程よりも速い。


こいつら、さっきの戦いで学習したのか!?


めんどくせぇ敵だ。それに加えては背後で猫耳少女はオドオドするしよ、うぜぇ。

ん? こいつ亜種系猫だよな? なら―――。



「なぁ」

「はひっ!?」

「お前の力で、ある所まで飛べないか?」

「で、出来なくはないけど」

「なんかあんのか?」

「このよく分からない変態達は、逃がしてくれないと思うよ」

「言いきれる理由あんのか?」

「この変態達は、自在に変化と学習能力が高い。私が君を抱えて飛んだとしても、筋肉しかない手はゴムの様に伸びるから」



ただの肉体かと思えば、骨が腕にないと来たか。バケモンだが、防げないは無いはずだ。


「ふん。猫耳娘。俺を抱えて飛べ、後ろの追撃は俺が何とかする」

「へ? 正気?!」

「此処で齧られて舐め回されてぇのか?」

「い、嫌でふ」

「ならやれ。 ちょっとやそっとで砕けるほどヤワじゃねぇ」



少女は俺を背負い、高く飛び上がり壁に着地して跳ねる様に飛ぶ―――――。




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