外へ脱出
人ならざる者は俺達を食らう気満々だ、簡単に食べられる訳にも行かねぇ。
キャトラは四つん這いで、飛び上がる。猫だな。
「にゃっにゃっ!!」
「飛躍力ジャンプどうした?」
「病み上がりなんだよ私!? そう簡単に怪力は出ない!」
「つべこべ言わずに飛べ!! 」
「ひぃぃぃぃ――――!!」
背中越しに後ろを俺は向いた。暗闇から白い手が伸びてくる。それも数本、増えてる。
「捕まったら奈落に落ちるぞ?」
「いやにゃん」
「俺もゴメンだ。片手でやるしかないな。攻撃防ぐからてめぇは逃げる事だけ考えろ」
「えー」
「 てめぇ何をしながる!?」
キャトラは近くにある配管を力任せで引き裂いて、虚空に投げ捨てた。
「しっかり掴まっててよ、舌噛むかもだけど」
「何をするつもりだ」
「まぁ見てて」
両足に力を入れたのだろうか? 黄金色の雷が放たれ高く飛び上がる――――。
「
キャトラは配管を思いっきり蹴飛ばした、雷を纏い放射線に無数に分散して人ならざる者の手に次々と当てた。だが、足場は失われている――――まずい。
「ば、ガキ! どうやって壁に戻るつもりだ!?」
「あ」
「あ、じゃねぇだろ!!」
「んーと、確かこうすれば――――」
キャトラ、次は脚から火が吹いた。
――――――なんだコイツ!?
火の力で浮遊してそのまま中央の通路に着地する。ロボットかよお前は。いやはや、類を見ねぇよこんな力あるやつ、魔法自体を身体に宿すなんてな。
「ガキ、お前の力一体なんなんだ?」
「分からないにゃ」
「はぁ?」
「それよりも、奴ら来るよ」
座談してる間もないか、人ならざる者は手を再び伸ばしてくる。 俺は防御魔法で飛ばしてキャトラと通路を走る。だが――――。
「くっ!まじぃな、魔力使い過ぎたか」
頭痛だ。どうやら俺の体は限界が来ている、魔力の使い過ぎは生命力に関わってくる。
ようやく螺旋階段に辿り着いて、階段を登り始めた矢先だ。
バキャバキャ!!
不穏な音、巨大な手が見える。
どうやら巨人がこちらに気づいたようだ。
「え? な、何あの手?」
「いいから走れ猫耳! 巨人が来るぞ!!」
「えぇぇぇぇぇぇ!!?」
キャトラと共に螺旋階段を駆け上がる。
「ギャァァァァ――――!!」
今度は人ならざる者が翼を背にバタつかせて飛んできやがる。現場はカオス。
次から次へと! クソが!!
俺は防御魔法を何度も放つが、回避されまくる。当たんねぇな、けっ、負担は来るがやるしかねぇ。
「
再びシールドを放つ、円状に張り巡らせてら進行不可のにする。少しは時間稼げ―――。
ゴォン!! ドンドン!!
巨人が俺のシールドを破壊しようと拳を突き立てる。 何発も振り抜く。
チッ、これ以上やれば命削れる。
キャトラと俺は急いで螺旋階段を登り終える。通路をぬけ出口への光が見えた矢先だ。キャトラの身体がみるみる低くなる、段々小さくなる。ガキがガキになった。
「新しい遊びかそれ?」
「違うもん!! なんで小さくなるのよ!?」
「知らん」
巨人が出てくる前に逃げなきゃな。
ゴォォン!!
抜け出て数秒後、巨人の腕が天に貫く。
見事に研究施設は崩壊して瓦礫が天からあちらこちらに降りそそぐ。
ゆっくりと地上に手の平を振り降ろす。
雪が舞い上がり、波の様に雪崩が襲ってくる。
「チッ!!」
「私に任せて!」
迫り来る雪崩に、キャトラは手の平を握りしめて拳を作る。
「
猫耳少女は拳を振り抜くと、砲撃の様に魔法の拳が現れ雪崩を貫いていく。真っ二つに引き裂くように分かれた。
「やるじゃねぇか」
「えっへん!」
「頭に乗るな」
「あいた!?」
やたら空が騒がしい。俺は見上げると二匹がクルクルと回転している―――。人ならざる者だ。外に出ちまったか。
「感謝しろ、見逃してやるが―――後で狩ってやる」
「見てなさい私だって狩ってやるから!」
「お前が言うと、鳥を狙う猫みてぇだな」
「にゃにゃ!? 酷い!!」
「まぁいい、帰るか」
「どこに?」
「学園にさ」
さて、それから人ならざる者は各地に飛び回り人々を悩ませる存在となった。あぁ、カイトは人ならざる者に喰われたらしいが新聞ネタにしちゃいい話だな。
学園に戻り、ロリ全裸と言う事もあり早速フェイの誤解。 ロリ好きと認知される理不尽。やはり性に合わないことするもんじゃねぇや。まぁ、しばらく解くまで時間がかかり。
時は新入生を迎える春先―――。
《次の依頼が来た》
「内容は?」
《あの資料から次なる研究施設調査、そこに"時詠の巫女"が幽閉されている》
「巫女?」
《異界から来た少女が魔法省の研究計画の一人、壊すなら今しかねぇ》
「―――悪くねぇな」
ウィンドウを閉じる俺はニタァっと笑みを浮かべた。奴らを潰せるなら俺は暗躍するだけさ。
"魔法省"をぶっ飛ばすまでな―――。
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