三章学園入学式編

武器探し鍛冶屋へ

あの主要都市ミッドガルの事件から十年が過ぎた。魔王を――――俺が焼き断ち切った。



平和と言われているが、何処と無く胸騒ぎ。

ラインハルト達に弟子入りして修行も兼ねて、収まる筈の胸騒ぎは―――消えなかった。



理由は簡単で、魔王と父は明らかにだった。名前まで知っている。

父の過去は、知れば知るほど奥深い。

ただ、英雄と呼ばれる前――――そう父が最後の冒険となった舞台はアールズヘルム。

ユグドラシル本体に襲い来る魔物達と戦いしていた夜の事、パーティーメンバー・リーダーが失踪したらしい。



俺が推測するなら恐らくリーダーが魔王であることはわかる。それ以外の記述は不明。

父の遺体すら消えてるんだ、何かしら意味があるんだろう。



さて、十年。簡略に説明しよう。

技術面で今の武器は魔力を動力化。

これにより生産性や多様性が増えた。

錬金術により近代化へ。

構造物を作れる特殊な存在、アイテムを別なアイテムに作り替えるので特殊な物が作れる様になる。

魔法通信。

ついに来てしまった、魔力から魔法に変換する力を用いて作られた環状のリング。

ウィンドウを開けたり、他の人とチャットや電話までありとあらゆるアイテム。

値段は十万コルから。復旧率は五%未満。少ねぇ、高ぇよ、誰も使ってない指輪かよ。




まぁ、俺の身体の成長に合わせて転生能力が開花した。おかげで異世界最強無双できちゃう系になれるかは分からなけどな。



しかし、魔法が相変わらず――――。




うぐっ。まぁいい。前の両手剣は今や片手剣のように軽々しく扱えると言うわけだ。

錆びて錆びて使えない。この大剣は特殊らしくて並大抵の鍛冶屋で出禁されるレベル。



「軽いなぁ」


この日、立ち寄った武器屋。試作品段階の大剣に目を向けた俺は軽々と持ち上げる。

物足りなさを俺はため息感覚で一言。

さすがに店員さんは聞き捨てならない感じで姿を現して武器の説明兼ねて発言した。



「お客さん、それ重いですよ? 黒曜石と玉鋼をブレンドした特注品の試作品すよ」

「軽すぎるんだよ。足りないんだよ重さ、中身スカスカレベルだこれ」



最高に重いと店員は言ってるみたいだが、残念な事に俺からしたら軽石を持ってる感覚なんだ。


「は?」



まぁ、当然な反応だ。何言ってんのこいつ? みたいな顔をしている店員、接客忘れてるな。ならば簡単だ、俺の大剣を持たせてみよう。



「なぁ、俺が背負ってる大剣を持ってみて感想聞きたいな」

「あれ? なんか立場変わってない?」

「いや大丈夫、変わってないからさ」



俺は大剣を置いた瞬間、レジカウンターが破壊した。ヤバさレベル一上がった。

周りの客はザワザワ、有名な鍛冶屋に来たのに。



「お客さん!?」

「レジカウンターも軽い」

「軽くねぇよ!! 強度最高なんだぞこれ!!」

「じゃ、脆い」

「脆くねぇよ!! お客さんの武器が重すぎるんだ!!」

「ふむ、愛より?」

「重くねぇよ!! 何上手いこと言ってんだよ!?」

「鍛冶屋ならレジカウンターいらない、外で鍛えろ」

「レジカウンターなければ品出せねぇよ!! 外で鍛えろって意味わかんねぇよ!!」

「つまり、これぐらいの重い武器は作れないわけだな? なら用はない」

「お客さぁぁぁん!? それは困りまぁぁぁすよッ!!」

「え? 売上伸びるから嬉しいって? そっかそっか、一割俺にくれそしたら全部水に流そう」

「なんでお前がこの店の店員なんだよ!! なんで、売上一割貰おうとしてんだ!? お前は客、俺は店員だ!!」



騒がしいやり取り後、鍛冶屋の店長にお怒られて店を追い出された。うるさい店員のせいだ。


「誰がうるさい店員だ!!」

「あ、来てたんだ」

「誰のせいだと思ってやがる?! あぁん?!」

「まぁ良かっな、うんうん」

「ケッ」


店員はクビにされて、レジカウンターの代金支払う為に旅芸人に転向したらしい。



「オメェのせいだゴラぁぁぁぁ!!」

「レジカウンターは脆かった、後味よろしくてまるまると」

「まるまるってなんなんだよ?」

「パンツ全振り」

「意味わかんねぇよ!!」


鍛冶屋を探すが、さすがに俺の筋力に見合うのはなかった。 ならば、双剣になろうか。


「最初からそれでいいだろ」

「この大剣を半分にした強さにしてくれ」

「無理あるな」

「えー」

「お前なぁ、今の武器を改良したら鞘がない刀身むき出しの露骨な剣二本だ。強さどこに置いた?」

「強さ欲しくない、欲しいのは破壊力」

「物欲強すぎるだろ!!」



とゆうわけで、村に帰った。 あと男は近くの宿屋に向かって別れた。

妹は十二歳、年頃なのかツンツンした態度が最近ある。つまり自宅の扉開けると大体は―――。




「なにみてんのよ」


愛想尽かした顔のルナ、ココ最近これである。




「いや、見てない」

「私の体じろじろ見ててキモイ」

「部屋に戻るか」

「やだ」

「は?」

「少しは自覚しなさいよバカ」



ルナはそんな捨て台詞を言って部屋に帰った。なんだありゃ。


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