失われた者と世界

主要都市炎上を引き起こした、主犯キャサリンは追放さる記事が各世界に出回った。

名門剣技一連の騒動に、名門剣技は取り消しにされる。ギルド管理局はこの事を魔法省に強く追求したと言う。何故、魔法省の職員履歴があったのか―――理由は闇しか知らない。



また、殉教者だったバーバラとシンシアは聖騎士団の一員となり、主力戦力として戦闘が激しい第一部隊隊長と副隊長になる。

そして、逃亡したアグネスはトラップに引っかかり監獄送りとなった。



そして何より、記事がでかく書かれていた父アルトの死だ。

主要都市ミッドガルをなんと開拓して作った街で、領土主でもあった。十数年前は魔王を倒した事で英雄と呼ばれていたそうだ。父の遺体はなくなっていて亡骸は未だに見つからないままである。


アルトの後任は未定のままである。


魔王の巨大な魔法でミッドガルに空いた穴は地下深く、恐らくヘルヘイムに繋がっていると推測された。



魔法省は深さは数千キロと言われているが、ギルド管理局は数百キロと意見の食い違いに火花を散らしている。

対立してる理由は様々あるらしいが――――魔法省は人体実験していたという話。




あの後、自室に運ばれていた。

目を覚ますとそこにはフィリスの姿、いきなり抱きつかれた。もちろん抱きしめたが、何やら視線を感じて辿ると―――。




小恥ずかしいそうな、シンシアと何やら殺意を感じるバーバラと軽く咳払いするラインハルトが居たのだ。



「一ヶ月ぶりに目を覚ましたと思えば、女の子と仲良くしてるとはな。場違いだったか」

「ほんとそれよ、破廉恥だわ」

「※※※※!!」

「なんかすまない」

「ルーク、なんでまた無茶するのよ!」

「あ、いや、これはだな」

「バツとして、私と遊ぶ事ね」

「え!?」

「あー、やらかしたなルーク」

「ま、当然じゃない?」

「俺に救いは無いのかよ!?」



すると妹ルナが視線の先に止まる。



「罪同等じゃない? にぃ」

「妹よ!? そんな厳しいこと言うな、死ぬよ」

「知らないもん、私を置いてお母さんはプンプンしてるの抑えるの酷かったんだよ」

「あ、いや、これはだな」

「嘘ついたから百倍で恩返してね」

「あぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!! 死んでも償うのはさぞかし重い!! 」

「うるちゃい、私は魔法覚えてくるからまたね」

「あ、あ、あ、あ、我が妹よ!!」

「妹ちゃん、一枚上手ねバカ兄さん」

「フィリスさん?」

「妹ちゃんを見習うべきだわ」



フィリスの笑みは目が笑ってない、身震いするがまぁしょうがないか。



そんな感じに会話して、その日の夕方は母が手料理を振る舞った。

夜、みんなが寝静まっていた。何故か寝れなかった俺は一人外に出て夜風にあたる。


月明かりが照らされ、冴えない眼差しで遠くを眺めていた。


確かに強くなっていたが、実力としてはまだまだ。正直―――事が苦い記憶になった。



「寝れないのか?」



突然声が飛び俺は後ろを振り返ると、無くした腕に擬似腕が装着されていた。 赤紫色の左右の髪の毛に軽装着と右腕に篭手を装備している。



「まぁな、悔いるとこあってな」

「それもまた騎士だ、己に恥じない戦い方は戦う事ではなく―――何かを守ることだ」

「それが出来なかったら?」

「負けぬように努力する、お前はあのアルトの子だ。 きっと強くなれるさ」

「何処に行く?」

「俺は傭兵、依頼があれば向かい人を助けるだけさ」



そんな言葉を残して、何処かへと行ってしまった。きっと俺に足りないのは何かを守る"覚悟"それなんだろう。



夜風が吹く、父の埋葬からもう一ヶ月。俺が眠ってる間に、全部終わっていた。



「神殺しの力が不完全、体が幼いからか。成長すれば今よりも強くなれるのか―――」



ため息を吐くかのように一人虚しく独り言。

もっと強くなって、誰も死なせないくらいに強くならないと。



それから俺は強くなることを決意して鍛えまくり十年の月日が流れた。今の世界は変わっていた。技術が魔力系が特化され錬金術が世に浸透していて、十年前より便利な世界になっている。



背丈も転生前と同じくなって、転生能力も使える様になった。ムキムキじゃないから身体。マッスルじゃないけど、魔法は相変わらず使えないまま。まぁいい。俺の物語はこれから再出発するんだ――――。



彼の冒険はまた少し先である――――。


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