因縁の衝突 (魔王復活・II)
俺は言葉に詰まる、目の前に映るのは父アルトが貫かれた光景。 バーバラは空を見上げた、赤くボロボロなマントと黒髪の少年の姿だ。
「この日を待ち浴びたぞ、アルト―――!」
手を開くと父を貫いた槍は引き抜かれ、ゆっくりと少年の手に戻る。
「血はもらった、我は貴様の血が来る前に蘇った。だが、これで完全となるのだ」
「――――ッ!!」
父アルトは両手剣を強く握り真っ直ぐ翳す。炎がボワッと吹き上がり全身に纏う。
「まだ俺は終わらないッ!!」
「ふむ、焼き焦がれる熱波。熱い、地獄の様に」
「行くぞ!!」
父アルトは音速で飛び、頭上高く魔王に向かって両手剣を振り落とした。
「焼き焦がれろ!! ゾアーク!!」
「おぉぉぉ―――!!? アルト貴様ぁぁぁぁ!!」
業火の灯火の様に魔王は燃えながら地上に叩き落とされた。落ちた場所は焼き焦がれるが、魔王は立ち上がり、槍に魔力を流し入れて黒い炎を放ちアルトに向かって飛ぶ。
「聖なる炎よ、邪を祓い悪き者を裁け――――
アルトが火の鳥化して、向かって来る魔王にに向かって飛び――――互いの武器が衝突して二色が空中でぶつかり突風が吹いた。
「アルトぉぉぉぉ!!」
「ゾアークぅぅぅ!!」
「「うぉぉぉぁぁぁぁ!!」」
轟音が馳せる、魔王の槍はへし折れてアルトの両手剣が炸裂する。
だが、魔王は折れた槍を父アルトの腹部を突き刺した。
「ごふっ!? クソッタレが―――」
父アルトが滑落して地面に落ちたのを見た俺は駆け寄る。
「お父さん!!」
「る、ルーク。来て、たの、か?」
「うん、それよりも早く治癒魔法を―――」
父アルトは血塗れの手で、俺の手を掴み話す。
「無理だやめとけ。傷が深すぎる、治癒魔法は心臓まで、治せない」
「でも!」
「ルーク、そんな顔するな。これが
「あんまりだよ、家族置いて逝くなんて。認めない!!」
「―――ルークから、そんな風に言われる日が来るとは思わなかった。お前のその優しさが、大切な人を守れる覚悟ゆらがなければ―――いい」
「お父さん!!」
「あぁ、俺は何も出来なかったんだ。あの日からも―――」
「お父さん? お父さん!!」
父アルトは言切れた、眼差しは光を失い天を見上げていた。
「お父さん? お父さん!!」
揺するが反応がない、父アルトはえ俺が見守る中で亡くなった。タイミングよく空からも涙の雨が降り始めた。
「人は何故死ぬのか、何故悲しむのか。我には分からない。不死である以上死ぬ事に恐怖心は無い」
魔王はそう発言した、心外な言葉である。
「死を知らぬ者は、愛を知らない。愛を知らない者は、孤独を知る。これが人にしかない感情だ。魔王よ――死ぬのは怖くないか?」
ニチャッァと笑みを浮かべる魔王。
「貴様は怖いのか。その者は死があるのみ」
「もし死なないとしたら?」
「面白い、では勝てるならやってみよ」
ラインハルトは魔王と戦闘が始まり、殉教者である少女は絶句していた。
アルトで倒されたとされている、二十年ほど前に。それが今の魔王である。
それが、目の前で復活―――。
人間に近い姿、魔力の強さを感じない。未完成で復活したという事だろうか? いや、それよりもあの槍は――――。
あれはオーディーンの槍グングニール!?
でも、色が違う。赤黒い。
魔王は魔槍グングニールを構える、次なる標的を狙い定める
魔槍グングニールに投げられたら最後、必ず心臓を貫かれてしまう。阻止する為に少女は剣で加勢する。
「やらせないぞ!!」
「命知らずがまた一人か」
「余所見ししてる暇はないぞ!」
振り抜くがカタカタっと武者震いするラインハルト、これ程の脅威がある敵は初めてだからだ。
「ふん!!」
魔法はふ二人同時に弾き飛ばした。
ラインハルトと少女は地面に、叩きつけられ動けない。
これほど強い敵を目の前に、殺されるしかないのかと思う程だ。
「来ないのか? ならば我から行こう」
魔王は一瞬で立ち上がったラインハルトの目の前に、現れて魔槍グングニールを突く。当然ラインハルトは剣で弾く。遅れて立ち上がった少女は、加勢し剣を振り抜くが魔槍グングニールに防がれ弾き飛ばされる。
「きゃぁぁぁぁ――――!!」
「殉教者の君、君の名は?!」
「私はシンジア!!」
「よそ見してる暇は無いぞ?」
「ぐっ!!」
魔王はラインハルトに魔槍グングニールを一撃を放つのと同時に、ラインハルトは渾身の一振りを放ち火花を散らす。
「押し勝てるか? 貴様は分かってるはずだ、我に勝てぬと」
「かもな、だけどこのまま引き下がるのは剣士の恥だ」
「ふむ、ならばその身に刻むとしよう」
ラインハルトを押し飛ばした魔王、魔槍グングニールをゆっくりと構える。
ラインハルトも、ゆっくり構える。
「魔槍黒キ
「――――終ノ太刀・暁!!」
激しい轟音が鳴り響き、衝撃波が馳せた。
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