殉教者の復讐 (殉教者侵略・III)
一方、アルトとブライザー達は主要都市ミッドガル街の入口付近で激しい攻防を繰り広げていた。
殉教者キャサリンの素早い一撃で、木々が切り裂かれアルトの剛撃で地を斬り裂く――――。
互い譲らない攻防で、外壁が崩壊して外見が美しさを失う。
「聖騎士元団長さん、貴方が何故ここに現れたか―――理由が分かりましたよ」
「―――――」
「あの頃と同じ過ちを犯さない為にですよね?」
「アルト」
「ブライザー耳を貸すな、俺は―――やるべき事がここにある。
「ふふ、威勢がいいだけは褒めますが。 貴方二人で私一人分の強さ、それを何意味してるか分からないのでは?」
二人でさえ、限界が感じる強さ。
キャサリンは残念な事に、主要都市ミッドガルの名を刻む名門剣技の一人なのだ。 未だに右に出る人はいない。
キャサリンという名前は伏せられていて、ルーという名前で活動をしていた。
そこまで騎士団は掴んでいた、なぜ捕まえることが出来なかった理由は簡単だ。
大手ギルドなど、ありとあらゆる"財力"と"権力"がキャサリンにある為に捕まえるのはリスクがある。
いくら騎士団だとしても、名誉もある。簡単に捕まえるには至難と言わざるおえなかった。
そしてだ、殉教者として再臨する為の時間は全て整った。
これから始まる悲劇は阻止しなければミッドガルは終わる。
「裏切ったのは、我々だ。殉教者を止めるのは俺達しかいない」
「偽善者が何を語る、新たな教祖を作り地を固めただけで―――なんも変わってなんかいないじゃない! 見よ、これが私達の復讐劇。 動いた歯車は止められやしない!! 全ての命を狩って、神に捧げる。 それが私達の宿命だ!」
「何が宿命だ! こんなことしたら、何が起きるか分かってるのだろ!」
「えぇ、それが狙いですからね!」
「このっ!! アバズレが!!」
ブライザーは動いたがキャサリンは容赦なく会心の蹴りを腹部に入れて地を転がる。
「ぐあっ!!」
「ふん、雑魚は雑魚。 ねぇ、アルト? 私達と来ない?」
ブライザーはふらつきながら立ち上がる。
「お前なんかにアルトを渡さない!」
ブライザーは痛さを我慢しながらキャサリンの背後から切りかかる。
「お黙り!」
見事に躱されキャサリンに太ももに短剣を刺されたブライザーは絶叫する。
そんな光景にアルトは、「その話に応じよう」っと言った。
「まてよ!! アルト!!!」
「なんだ? 罠だとしても構わんさ」
「なら、何故!?」っとブライザーが続くように口を開いた瞬間、遮る様にアルトは「共倒れよりマシだろ。冷静に考えろ、今この瞬間、
戦力が一人でも減れば―――俺達の負けだ」っと低めのトーンで言った。
「仲間割れかしら? クスクス」
ブライザー刺された短剣を手に取り引き抜き、余所見しているキャサリンに振り抜いた。背中を切りつけた、キャサリンは笑いながらブライザーに振り向く。
「不意を突くのは素晴らしいわ。けどその脚じゃ立つのも酷いんじゃないかしら?」
「うるせぇ女だな。見た目よりタフなんだよ俺は。アルト、今更約束が無かったなんて言わせないぞ」
「ブライザー」
キャサリンはクスクスと笑う。
「けど、それは叶わない。だってこの瞬間、ブライザーは死ぬからね!!」
キャサリンはブライザーから短剣を奪い取り、腹部に向かって振り抜かれた刹那――――。
キンッ!!
キャサリンの一本の短剣がブライザーに貫く直前だった。割り込むように刀を盾にする男性が割り込む。
「誰!?」
「俺? ただの流浪人さ―――」
黒髪の男性はキャサリンの短剣をはじき飛ばした。
「くっ!? 」
「
隙与えずに技を放つ、キャサリンは赤い衝撃波を至近距離で喰らい吹き飛ぶ。
「ラインハルト来てたのか?!」
「あぁ、隣町からこの街の騒動を聞いた。殉教者達は魔王を復活させるつもりだ」
「やはり魔王か、あの時―――――」
「アルト話は後だ、来るぞ!!」
ケラケラと笑いながら茂みから赤い瞳二つが光る。キャサリンは一瞬にして、ブライザーを切り込んだ。傷は深く血が吹きゆっくりと倒れた。
「ブライザー!?」
「よそ見するな! 奴は普通とは違う!!」
「あはははは!! もっと血を流せ!! 」
目に止まらない速さで、連撃を放つキャサリン。動きからして異常、狂った笑い。
アルトとラインハルトは受け流し、互いに背中を合わせた。
「なんだあの速さ。人間がなせる技じゃないぞ!?」
「奴は悪魔に命を売ったのさ」
「は?」
「人ならざる強さ、あの斬撃受けても動ける。普通じゃありえない、その力はどこから来るのか―――」
アルトは察したことを口にする。
「まさか、ヘルヘイムと契約か」
「だろうな、じゃなきゃ来んな動きでぬだろう」
悪魔の力を手に入れたら二度と人に戻れない、それが"ヘルヘイムの契約書"だ。
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