学園へ向かう (雪国遭難・III)

キャラバン隊の郷から、学園まで約数十キロ先にある。――――っと地図に記されていた。



誰かこの場所に訪れたのかは、分からないけどある意味助かったな。



コルネとユズは、魔法で転移してこの巨人の国ヨツンヘイムへ来たが――――。



この視界の悪さにやはり迷ってここに着いたらしくてもう三日ここで過ごしているらしい。



地図を改めて見てみる、キャラバン隊の郷は頂上手前にある。巨人族の住む場所や道は、黒く塗りつぶされていた。

キャラバン隊達が教えてくれて書いてくれたらしく、ルート的に変えるのも可能である。



「さ、行こうか」

「あ、待ってください!!」



ガラガラ。

ビュォォォ―――!!



あれ? 冷凍庫誰開けっ放しにした?! って思うほどの冷気が凍てつく雪と寒さに一瞬で凍りついた。


「あー、また温めなきゃです」

「また乳もげされるわよ?」

「私的には良いのですよ」

「ぶっ!!」



まぁともあれまたもや解凍されて、部屋に戻る事にした。あー、さむさむ。



「それで、ルークどうやって来たのよ?」

「転移石」

「なにそれ!?」



青黒いぽい石である、飛行石じゃありません。魔力なしでも使える神石です。



「あ、それは錬金術の物ですね?」

「ユズは犬かよ、よく分かったな」

「犬じゃないです、精霊です」

「ね、転移石って人数関係ある?」

「ないと思う、とりあえず使ってみるか」



ルークは転移石を握りしめた。



「転移!」



ポワッと淡い光が放つ。俺にしがみついたユズとコルネはそのまま転移する。




「転移完了っと」



一瞬で岩肌を人工的にくり抜いた薄暗い洞窟に着く、本当どうゆう原理で転移出来るのか謎だ。



「どっかの洞窟ね、ユズ」

「はい、この辺りは以前人類が作ったとされてる地下坑道です。どこに繋がってるかまでは分かりません」

「とりあえず明かり付けて、じゃないとルークがまた胸触るわよ」

「根に持つなよ」

「あんたね! そんなんだからモテないのよ!」

「ぐはっ!!」



一撃殴られた。痛いぞ、お嫁に行けない。

と言うボケをかましてると、ユズは魔法で小さな光を作る。頭上辺りで輝く、精霊なので、ありとあらゆる能力が備わっている。例えば、この様に分からない場所に飛ばされた場合は千里眼で地形を調べてどうゆう構造かで人口かどうかを判断する事が出来るのだ。



「簡易的な証明です、あとはこの道を進んでみましょう」

「ユズ凄いな」

「いえ、私はまだまだです。それよりマスター行きますか?」

「まぁ、行かなきゃ分からないでしょ」



岩肌にびっしり掘られている。天井はそう高くない道なき道を歩くと、地面に線路が置かれた坑道に出る。ちょっと広い空間。



「頭すり減らずに済んだけど、ここマジでどこに繋がってんだ?」

「分かりませんけど、この先に出口ありますが。何やら人の気配あります」

「人の気配?」

「構造的には斜めから掘られていまして、その上に建物が立ってますね」

「だってよ、行くしかないわよ?」

「だな」



ザァーっと湧き水が流れ落ちる、光を当てると透き通った水面で底が見えるほど不純物がない。不思議な事に、寒さはあまり感じない。洞窟や坑道は一定の温度で下がらない上がらないのが特徴でもある。



しばらく進むと、水滴音が鳴り響く。

遮る物がないのと、音が壁に反響して音質よく響くってわけになる。



出口付近、やはり寒さが流れてくる。

ゆっくりと進むと、一枚の木製扉がある。

まぁ人の気配はバリバリあるわけである。



「さて、こっからどうするのかしら?」

「さぁ、向こう人がいるんだろ。開けてはくれないだろうしな」

「へ?」



コルネは足を開き構える、拳を強く握りしめていた。



「何する気だよ!?」

「決まってるでしょ。 こうすんのよっ!!」



バコンッ!!



扉が吹き飛んだ、中から看守が二人びっくりした顔で出てくる。



「な、何をしたんだお前ら!?」


この流れ的に、看守を黙らせるしかない。


「悪いけど、眠って貰うぞ」

「「ぎゃぁぁぁぁ――――!!」」



手をパンパンと叩く俺、気絶した看守二名を縄で縛った。数分の出来事だ。周り見渡す限り上に続く階段しかない。



「たーる」

「ん?」

「違うわよ"たーるん"だよ」


樽を見ると"たーる"っと言うのが流行ってるらしい。ただ、人によって言い方が違う。

コルネとユズはたーる討論中、俺は階段を登ると出口の光が射し込む。



「こっから外に出れるみたいだな」

「だから、たーるんよ!」

「いいえ、たーるですよ!」

「二人共、その辺にして出口に行かないか?」

「「ルークは黙ってて!!」」

「は、はい」


コルネとユズに怒られてしまい、少し落ち込む。まぁ出口から外に出ると、強い光で目が一瞬眩んだ。しばらくすると、人々が行き交う街並みが目に飛び込んでくる。


「街、みたいだな。ここまで来るの時間かかったな」



周りを見渡すと街の掲示板あり、俺はゆっくりと歩いて張り紙を見る。


「ここは、学園郊外・スノードロップ町。この先にあるのは、雪氷学園スノースクール



どうやらたどり着いた様だ。


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