学園生活 (入学式・Ⅰ)

何だかんだで、ランダム転移は神でした。

通った道筋は、廃通路。今は使われてない旧地下道で採掘や発掘の為にあったらしい。



ともあれ学園へと行けた事に感謝だ。



「えーと、この道を進めばいいのか」



俺達は露店街を歩き、学校の門を通り抜けた。その先に受付人に書類を提示。

待機していた先生に連れられて男子寮と女子寮それぞれに一室に案内された。



―――――数日後――――。



いつも通りに制服を着て身支度を終えて、朝食を摂るために部屋から出る。

だが、学園の食堂が分からない。かなり広い敷地内、大学キャンパスあるだろうか。

寮から出て学園に入ると余計分からない。

まるで学園案内板が壁にあるが迷路ラビンスの様にかなりある。





「食堂どっちだ? コルネとユズ見当たらないしな。困ったな」

「ねぇ君」

「ん?」

「新入生だよね、なら僕と食堂に行かないかい?」


いきなり誘ってきた人、見た目も顔立ちも女の子。だが、男性制服。


「構わないけど」

「良かった、僕ぼっち極めてたから」

「類は友を呼ぶ的な感じか」

「んー、そう言わないで欲しいけど。あ、時間ないから早く行こう」


この人はブレザーの色が赤い、一年生は黒、二年生は赤、三年生は、白である。

つまり一学年上の先輩である。

食堂に着くと、バイキング形式かと思ったらかなり素朴。普通に売店のおばちゃんが手作り定食、席に座ってる人はちらほらだ。



「なんかガッカリしてる?」

「まぁ。うん。イメージと違う」

「あはは、まぁそんなものだよ。ここのおばちゃんの料理美味いんだよ、おすすめはカリカリかな」

「カリカリ?」

「ベーコンエッグ」

「はぁ? 俺も同じでいいか」


木製のテーブルと椅子にゆっくりと腰を降ろした。注文は口頭で言わなきゃならないが、おばちゃんは注文しなくても料理を運んでくる。


「カリカリ二つお待ち」

「ありがとうおばちゃん」

「あれま? あんた友達できたのかい!?」

「うん、ようやくだよ」

「あらあら、赤飯でも炊こうかしら」

「大袈裟だよ。あ、君の名前は?」

「ルーク」

「ルークね、僕はスティーグよろしくね」

「自己紹介より早く食べなさいあんたら」

「はーい」



スティーグに迷路のような道筋を進み体育館に着くが。異様に一年生が少ない指で数える程しかいない。



「今年も少ないね」

「今年も?」

「うん、僕達二年生で十五人。三年生は二十名かな、一年生五人は異様だね」



二年生は十人も多めで、スティーグのぼっち極める理由は理解できる。



「ちょっと、そこ邪魔くてよ」

「あ、ごめん」

「これだから凡人は嫌になるのですわ」



だが、それとは異なる。スティーグの同級生は、見る限り貴族生徒の塊だ。

殆どが名誉がある学生だろう。前言撤回。つまり、スティーグはぼっち極めてるのではなく。



「あら? 貴方様は?」

「俺はルーク。貴族ではないけど、ですね」

「へ?」

「私を口説くつもりかしら? あら出来る方ですわね」


俺は転生前にそういったラノベ読みまくっていたせいか、貴族を嘲笑う意味でで攻め入る感じである。

悪役令嬢なんてサイコーじゃないか。




「いえ、。底辺な凡人にはですからね」

「う、貴方様は何を言いたいのかしら?!」

「なぁに簡単だ、って事だよな? スティーグ」

「え? あ、あぁ」


令嬢の少女は悔しさを、滲ませるかのように俺を睨んでいる。それを気にしないで体育館を歩く。


「いいの?」

「なにが?」



少し怖気付いたスティーグは震え声で言った。



「貴族に楯突くって事は、財力や権力を真正面から喧嘩売りに行くものだよ。怖くないの?」

「怖くなかったら、女神とかラグナロクとなんて戦わないさ。それに、怖さで救えないのはもう嫌なんだ」



父を救えなかった事に対する後悔しかない。

だからこそ、臆するのは"死んでも嫌"になった。勇敢ってそう言うことかは分からないけど――――精神論的なそんな感じだ。




「色々あるみたいだね」

「まぁな、それよりこれどうゆう並びだ?」



一学年、二学年、三学年の平民は立ちで、貴族は普通に茶をしたり座ってる。

何この優雅な絵は? って思うほどだ。



「格差ってのあるよ。身分差で決まるんだ」



まぁ薄々気づいてはいたけど。

この学園は、貴族と平民の間で差がある。クラスも違くて、習うものも何もかもが違う。



「これより、入学式を始めます―――」



俺は、ニタリと笑みを浮かべる。

これからの学園生活は、っと言わんばかりの顔で―――。





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