平等な学園 (入学式・III)
「スノーブ校長!!」
「君達は、この新人生の行動見て何も感じなかったのじゃな?」
「非常識ですよ、貴族に立ち向かうなんて処刑台に立つのと同じですよ!!」
「非常識? ならば問うが、目の前で怪我人がおる。それを黙って見過ごす事が大問題じゃ。立場が違いとも助けるべき、それが我が校の教えの柱じゃ。ならば問うが、その教え以外の答えはあるのじゃな?」
「そ、それは」
先生方を沈めた校長、そして軽く咳払いしてこういった。
「皆の者よく聞くのじゃ。我が校の教育は何事にも"平等"を心がける事じゃ。じゃが、先の不正な模擬戦は明らかに教育不足と言える。新入生の祝典を無視した明らかな行為。これをどう責任取るのじゃ? ウェルツ教頭」
校長先生に名前呼ばれて、ビクッとするウェルツ教頭。ゆっくりと席から立ち上がりこういった。
「責任は私にある。貴族の失態は貴族の失態。再度教育を実地致します」
「よくぞ言った、じゃが。我々の責任でもある。"止めなかった"この失態は連帯責任じゃな。もう一度話し合って先生方を指導に務める。生徒ら諸君はこの場を離れ各クラスに帰って担任の指示を待つのじゃ」
ザワザワする体育館、スペルは保健室に運ばれスパークは傷の手当て受ける。
そして、貴族生徒は俺を敵視する。まぁ当然だろうな。そんな最中で、ある貴族が歩み寄ってくる。
「なんと勇敢な騎士よ、その行動に感服した」
角刈りの少年、メイドはお辞儀する。
「はぁ?」
「なんと!? 謙虚する姿勢、貴殿は心から戦士なのか! 私も見習いたいものだ!」
「あ、あぁ。それで何の用だ?」
明らかに話しずらい人が来たなっと思っていると貴族少年は目を瞑り言う。
「ふむ、本件忘れる所だった。メイドちゃん例のものを」
「はい」
メイドさんの一撃が貴族少年の腹部を貫いた。しかし満面な笑である。
「ぐほっ!? な、なんと華麗なボディーブロー! だ、だが、私は負けないのだ!」
「話が進みませんよ」
「うぐっ!? 精神的ダメージだと! 何たる多数武器を備えてる!!? 私も頑張らなければ!! うおぉぉぉ――――!!」
かなり暑苦しい貴族だ、対してメイドは沈静な感じで真逆だなって印象。
「はぁ、すみません。この人こんな感じでして。本件を見て私達は、貴族と平民の壁を超えたきっかけ作り出来ると確信したんです。それで、本校にない"実行委員"を設立したいと思いましてそのリーダーを貴方様にお願いししたいと思いました」
実行委員とは、なにかの企画を作ってそれを実行に移す委員会である。
思わずやった行動が、まさか貴族に目をつけられるとは思わなかった。
「リーダーですか? 務まりますかね?」
「リーダーと言う顔は貴方様がすれば大丈夫です、あとは
「なるほど、少し考えさせてください」
「分かりました、では日を改めてまたお伺いますね」
メイドはルークに一礼して、暑く燃える貴族生に脇腹指を突き刺して怯んだ所を首襟を掴み引きずってり歩く。
こ、こわ。あれが貴族メイドか。
それから、一年生教室に向かったルーク。
一階の広さに困惑しながらも、案内地図を頼りに歩いて教室のドアをガラッと開いた。
「あれ? ルークじゃない?」
「あ、本当です」
「コルネ、ユズ。同じ教室なのか」
「うん、それよりあんたさ。あんな真正面から貴族に向かうなんてバカじゃん」
「うるせぇ、あぁするしかなかったんだよ」
「ですが、あのスペルって人は富豪で伯爵位で有名ですよ」
「まぁ関係ないや」
「あんたね―――」
「なぁ? 先生誰なんだろうな」
同じクラスの残り二名は、無言の息で机に座り明後日向いていた。
キーンーコーンーカーンーコーン
予鈴のチャイムがなるのと同時に、扉を開いて中に入ってくる女性教師―――。
見た目からして自分達と同年齢だろうか。
「さて、初めまして。私はこのクラスの担任になるライフォード・サテラよ。貴族も平民も関係ないクラスとして―――」
すると、一人の貴族男性が立ち上がる。
「あら? どこに行くのかしら?」
「茶番に付き合ってられん。貴族クラスに行かせてもらう」
「あー、それが君の行く予定だったクラスの担任から伝言来てるわよ」
「なに?」
「"フォード・アダル・バレットの才能は持ち腐れになってしまうので一組でその知能を発揮してもらいたい"ってそうよ」
「何を言うかと思えば、貴様俺様を舐めてるのか?」
白銀の髪を揺らしながら歩き、澄んだ水色の瞳でサテラを睨む。
「舐めてなんかないわよ?」
「なら、今こそここで―――!!」
サテラは一瞬でバレットをねじ伏せた。
「くっ!? は、離せ!!」
「武で戦おうなんて思わない、今の君の実力でも私にはかなわない」
手を離したサテラはニコニコと笑みを浮かべていた。なにこれ怖ッッッッわ!
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