最終話 元姉が隣に引っ越してきた。

「荷物は、以上となります」


「ありがとうございました。」


孝介は、業者の人を見送った後

家の中に入る。


「孝介くん、荷物はこれで全部?」


リビングの方から長い髪を一つにまとめた

鈴さんがこちらに歩いてくる。


「うん、そうだよ鈴さん」


「そう…それなら荷物の仕分けを始めましょうか?」


「うん」


孝介と鈴は、段ボールから荷物を取り出し片付け始める。


「それにしても鈴さんの荷物少ないね」


孝介が段ボールの方を見て言う。


「うん早く引っ越したいから

 荷物をだいぶ処分したの」


「大丈夫なの?」


「うん必要なものは、ちゃんと持ってきたし

 後から二人で買い物に行ってもいいから」


「そっか、なら鈴さん後で買い物行こうね」


「うんだったら早く終わらせて

 デート行こう?」



孝介達がお互いの気持ちに向き合い

恋人同士になってから数ヶ月がたった。


季節ももちろん変わり

孝介は、高校二年生に

そして鈴は、三年生になっていた。


「しかしこの一週間大変だったよね孝介くん」


「うんまさか住んでたマンションから

 引っ越さないといけなくなったんだから」


そう孝介達が一人暮らししていた

マンションに設計上のミスが見つかり

改修工事などで一度別の場所に引っ越さなくちゃならなくなり、

この一週間は、目の回る様な忙しさだった。


「まぁそのおかげで孝介くんと

 一緒に住める事になったんだから

 怪我の功名ね」


「まぁお母さん達を説得するのが大変だったけどね」


当初は、マンション側が用意した部屋に引っ越す予定だったが、

用意された部屋が離れ離れだった為

鈴さんが難色を示し一緒に住む事になった。

急遽、保護者たちを説得する事になった。


「孝介くん…不満?」


「いやっそんな事は…

 でも詩織さんとか爺ちゃんに

 散々いじられたしお母さんも難色を示していたし」


「確かにそうだったね、

 でもいろいろ条件つけられたけど一緒に

 住める事になってよかったじゃない

 しかも…この家に」


「うん…そうだね」


二人は、家の中を見渡す。

孝介と鈴が住む事になったのは、

二人…いや家族四人で暮らしていた思いでの詰まった家だった。


鈴は、孝介の手を握る。


「鈴さん?」


「…孝介くん幸せな…家族になろうね」


「はい」


「……ふふ、言質を取ったわ」


「…へっ?」


「家族になるつまり、すぐ結婚してくれるよね」


「…えっ…いやいやいや!!」


鈴が急に放った言葉に孝介は驚く。


「何?孝介くん…嫌…なの?」


鈴は、真顔で顔を近づける。


「あっ…いやほら、

 まだ俺たち若いし生活基盤も…」


「私…稼いでるし貯蓄もあるよ?」


グッ…そうだった鈴さん忘れてたけど

売れっ子の小説家だった。


「でも…」


「嫌?」


「んーもう少し恋人でいたいなって、

 人生長いんだし恋人の期間がもう少しあっても」


「………」


…これは、無理筋だったか?


鈴は、にっこりと笑い。


「わかったわ、

 じゃ後少し恋人のままでいいよ」


孝介は、その返事にホッとした。

これからも時々言われる予感を感じながら…






「ねぇ、孝介くん」


荷物の整理も終わりのんびり休憩していると

鈴さんがこちらに来てソファに座っていた。

俺に寄りかかってくる。


「うん?」


「おかえり」


突然の言葉に一瞬戸惑ったが

すぐに返事を返す。


「えっ……うん!ただいま

 それと鈴さんもおかえりなさい」


「…うん、ただいま」


あの日いくら望んでもこの家で

言えなかった言葉を言い合う。


「…フフ」


「ハハ」


二人は、ひとしきり笑った後…


「鈴さん、愛してる」

「…私も、愛してる」


二人は、相手を強く抱き締めた


      〜完〜







こんにちは、『元姉が隣に引っ越してきた』ここまで読んでいただいてありがとうございました。

この作品は、自分が初めて書いた物になります。

最初は、最後までかけるとも思っていませんでしたが、皆さんの応援のおかげで完結できました。

とても感謝しています。

ありがとうございました。


これからも執筆活動は、していきたいと思いますのでよろしければ次回作にご期待ください。


最後に感謝を…

ありがとうございました。

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元姉が隣に引っ越してきた 雪見桜 @kannko12

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