第4話 2017年
2017年、Aさんはサイクリングで伊豆半島に行っていた。
伊豆半島一周は”伊豆いち”と言われる、人気のサイクリングコースだ。
坂あり、海あり、山あり、魅力的なコースが目白押し。富士山を見ながら、海風を浴びて滑走する。最高に気持ちがいいだろう。
Aさんは有休を取って友達と大好きな伊豆に出かけた。
山岳ルートを走っていた時だ。上り坂ばかりだからキツイ。
Aさんと友達は自転車から降りて休むことにした。自転車を停めて、草むらに小さなレジャーシートを敷いて座る。
その時、Aさんは草むらの中に銀色の何かが落ちているのを見つけた。iPhoneだった。「お、ラッキー!」Aさんはその頃、まだFOMA携帯を使っていたから、ついついそれをネコババしてしまったのだ。Aさんは普段まっとうに生きているが、そんな所に貴重品を落としたら見つかりっこない。持ち主も諦めているだろうと思った。それに、そんなにいい携帯を使ってる人ならきっと保険に入ってるだろうから・・・。
電源が入っていたから、Aさんはその場ですぐにスマホの電源を落とした。
そして、家に帰ってすぐにSIMカードを捨てた。
そして、格安SIMを入れてずっと使い続けていたのだ。
使い始めた時は、前の持ち主のデータが残っているかどうか気になってチェックしたが、普通の画像しか入っていなかったと思う。食べ物の写真や犬、景色などだ。
その後、持ち主はその後新しいiPhoneを買って、同じApple ID(かなんか知らんが)を使い続けているせいで、Aさんのスマホとデータが共有されてしまったんだと思う。
俺も2台iPhoneを持ってる時期があって、1台のスマホで写真を撮ると、もう1台にもデータが飛んでくるからすごいなと思ったことがある。
Aさんは結局警察には行かなかった。解体ショーの遺体は作り物かもしれないからだ。それで、Aさんがネットの掲示板で『こういうことがあったんだけど・・・』と他のユーザーに聞いていたんだ。誰かも俺と同じことを言っていた。
Aさんは今もそのスマホを使っている。
でも、気が付いたら、女の子裸の写真は見られなくなっていたそうだ。持ち主がデータをごっそり消してしまったらしい。
早く保存しておけばよかったとAさんは悔やんでいるとか・・・。
*本作品はフィクションです。
見知らぬ写真 連喜 @toushikibu
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