第3話 増えていく写真

 Aさんはその日は寄り道せずに、真っ直ぐ家に帰った。

 iPhoneの写真をじっくり見るためだ。


 同じ女の子の写真が追加されていた。

 彼女のことは、ありとあらゆる角度から見ているから、もう知り合いみたいな感覚だった。アイドルの押しみたいな。


 相変わらずシーツに仰向けに横たわっていた。


 まだ、裸なんだ・・・1日中?過去つき合ったAさんの彼女たちは、裸は寒いと言っていたし、布団もかけずにそのままでいることなんてなかった。


 ベッドに寝かされてる女の子の様子は、朝とちょっと変わっていた。

 血色が悪く青白い。

 夜だから、光の加減だとAさんは思った。

 ただ裸でぐったり寝ている写真しかない。


 こんな写真つまらないな・・・。Aさんはクレームを入れたくなった。

 タダなんだから、文句を言うのはお門違いだ。

 Aさんは飽きてしまって、その日はもうiPhoneを見なかった。


 次の日、Aさんは電車で運よく座れたから、画面を隠しながら電車の中で、iPhoneの写真を開いた。


 なんだかわからない写真が5個づつずらっと並んでいる。エッチな写真じゃないから安心して、新しいのから見始める。


 すると、いきなり目に飛び込んできたのは・・・


 昨日の女の子、


 の・・・生首!

 げっ!! 

 Aさんは椅子から飛び上がりそうになる。


 青白い肌。強いパーマがかかったぼさぼさの髪。

 ブルーシートに乗せられている。


 えっ?

 えっ?

 えっ・・・?

 死んでる?

 どういうこと?


 CGかもしれないけど、首から下がない。

 まるでスプラッター系のホラー映画の写真みたいだけど、血が出てない。

 むしろ生々しい。

 写真を横にスライドしていくと、切り取ったパーツがそれぞれ写真に収められていた。

 まるでマネキンの解体ショーだ。


 腕が肩の部分で切り落とされていた。

 

 肘、手首も切り分けられていた。

 足も同じように、膝、足首。


 こんな映画あったな・・・。いや・・・こういう人がいた気がする。

 手足がない女性。


 すると、手足をもがれた胴体の上に、レインウエアを来た男がまたがった。

 目にゴーグルを嵌めて、チェーンソーで一気に首を切り落とす。顔が見えないけどあのイケメンだろう。


 場所は同じベッドルームだけど、死体の下にブルーシートを敷いていた・・・。

 でも、血は出てない。

 これは見世物なのか、どっきりなのか、フェイク動画か。


 胴体は腰の部分から上下に切り分けられた。

 絶対本物だ・・・Aさんは確信した。

 出来過ぎてる・・・。


 長回しの動画が追加され、それぞれが45Lのビニール袋に入れらる。

 写真がどんどん増えていく・・・。部屋を片付けて、何もなかったかのように元通り。


 今、もしかして死体解体を実況中継してるわけ?


 Aさんは乗換駅で降りて、トイレに行った。

 1人でじっくり考えるために・・・。


 どうしよう・・・。

 警察に行った方がいいのかな・・・。


 でも、警察に行ったら俺のスマホを提出しなくちゃならないだろう・・・。

 そしたら、俺の犯罪がばれてしまう・・・。

 俺がどこでそれを手に入れたかも。

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