第3話

 俺たちは、第3階層に到着した。


 ベゼホト洞窟は全3階層のダンジョンだ。


 最終階層である第3階層はボスフロアであり、強力なダンジョンボスが存在する。


 第3階層のボスは、エルダートレントだ。


 エルダートレントは巨大な木のモンスターであり、トレントを指揮しながら襲ってくる。


 第3階層は1本道であり、進路上を塞ぐように、トレントの群れが立ち塞がっている。


「【フレアストーム】【フレアストーム】【フレアストーム】」

 俺はフレアストームを連打した。


 すると、紅く燃え盛る炎の嵐により、トレントは全滅した。


 トワイライト・クロニクルでは、敵を一撃で倒すとボーナス経験値を稼げるので、一撃で倒せるちょうどいい難易度のダンジョンを攻略すると、効率よく経験値を稼げる。


 トレントを倒して、俺のレベルは23まで上がり、リリエルのレベルは17まで上がった。


 通路を進み、エルダートレントと対面した。


「グオオオッ!」

 エルダートレントは、トレントの群れを再召喚した。


 取り巻きのトレントを全滅させると、エルダートレントの行動はトレントの再召喚で固定される。


「【フレアストーム】【フレアストーム】【フレアストーム】」

 俺は再びフレアストームを連打して、トレントを全滅させながら、エルダートレンドに大ダメージを与えた。


 トレントを一撃で全滅させる火力があれば、連打しているだけでエルダートレントを安全に削れる。


「グッ……ガァァァァァァァ!」

 エルダートレントのHPが半分以下になり、発狂モードに突入した。


 発狂モードに突入すると、絶えず枝を振り回してくるようになる。


「【プロテクションバリア】」

 リリエルは、プロテクションバリアを詠唱した。


 すると、白く輝く壁が展開され、枝を阻んだ。


 プロテクションバリアは、一定以下の攻撃を遮断するバリアだ。

 低威力の連打系攻撃に対して有効だ。


 エルダートレントの枝攻撃は、手数は非常に多いが威力は低いので、プロテクションバリアで完全に防げる。


 そのまま、何事もなく、俺たちはエルダートレントを倒した。


 エルダートレントを倒して、俺のレベルは30まで上がり、リリエルのレベルは25まで上がった。


 第3階層には、隠しボスが存在する。


 ボス部屋を右に進み、少し光っている壁を押すと、隠し通路が出現した。


 隠し通路を進むと、小部屋に到着した。


 小部屋の中では、鎖に繋がれた少女が座っていた。


「……私はユリア。風精霊だよ。ようこそ、お兄さん。ちょうど、退屈してたところだったんだ。私と遊ぼうよ」

 そう言って、ユリアはクスクスと笑った。


 ユリアは黒髪紅眼ロリ巨乳の美少女だ。

 艷やかに輝く精霊の衣を纏っている。


「もし勝負で俺が勝ったら、俺と契約してくれ。ユリア、お前をその檻から連れ出してやるよ」

「うん、いいよ。それじゃあ……【奥義:破滅の嵐】」

 

 ユリアの周辺に、黒い瘴気が渦巻いていく。

 このチャージ期間の間に妨害できなければ、俺たちの負けだ。


「【奥義:調和の天秤】」

 リリエルは、調和の天秤を詠唱した。


 すると、瘴気は消滅し、清らかな空気で満たされた。


 モンスターは瘴気系の攻撃を多用してくるが、調和の天秤を使えば、瘴気を消し飛ばして、モンスターに不利な聖なるフィールドを生成できる。


「……え? あ、あれ?」

 ユリアは、必勝の策であった破滅の嵐が消滅して、動揺していた。


 俺はユリアに歩み寄り、魔剣ソウルイーターを突きつけた。


「俺の勝ちだ」


「……うん。私の負けだね。……お兄さんと契約しようか」

 そう言って、ユリアは俺の手を握り、祈りを捧げた。


 両者の同意によって契約が成立し、ユリアを縛っていた鎖が消滅していく。


 ユリアとの戦闘は、契約によって途中終了したので、経験値は加算されない。


 風精霊であるユリアと契約すると、魔法攻撃力・機動力が大幅に上がり、風属性魔法の威力が上昇する。


 ボスであるエルダートレントも、隠しボスであるユリアも倒したので、この階層では敵は出現しない。


 静まり返った通路を進むと、宝物庫に到達した。


 ダンジョンボス討伐報酬として、好きなアイテムをどれか1つだけ入手することができる。


 宝物庫の中身はダンジョンの難易度に応じて変動する。


 ベゼホト洞窟はFランクダンジョンなので、Fランク相当の宝物が揃っている。


 俺は、マテリアルリングを入手した。


 マテリアルリングは、強化スロットを持ち、スキルをセットすることができる優秀な装備だ。


 初期の強化スロットは1つしかないが、ダンジョンを踏破してアップグレードすることで、強化スロットを増やすことができる。


 俺は、強化スロットに【魔法攻撃力上昇】をセットした。


 アレクのジョブは魔法剣士だ。


 魔法剣士は、剣も魔法も使えるジョブだが、序盤は魔法で範囲攻撃する方が強いので、魔法攻撃力を優先して上げる。


 宝物庫を出ると、ダンジョンの最深部に到達した。


 黒いダンジョンコアが安置されている。


 俺たちは、ダンジョンコアに触れて、ベゼホト洞窟を踏破完了した。


 ダンジョンを踏破したので、マテリアルリングの強化スロットが2つにアップグレードされた。


 早速、俺は増えた強化スロットに【取得経験値増加】をセットした。


 俺たちの前に、転移陣が出現した。


 俺たちは転移陣を使用して、ベゼホト洞窟から脱出した。





 冒険者ギルドに戻り、ダンジョン攻略を報告した。


 ダンジョン攻略報酬として、大量の経験値が加算され、俺のレベルは35まで上がり、リリエルのレベルは31まで上がった。


「アレクさん、リリエルさん。皆さんは、Eランクに昇格しました! おめでとうございます!」

 そう言って、受付嬢は嬉しそうな表情を浮かべた。


 隠しボスであるユリアと契約したことが高く評価され、大量の冒険者ポイントが加算された結果、Eランクに昇格した。


 Eランクに昇格すると、訓練場を使用できるようになる。


 訓練場を使用すると、経験値を稼ぎ、スキルの熟練度を上げることができる。


 通常戦闘でスキルを使っていても、少しずつスキルの熟練度は上がっていくが、訓練場を使うと、より効率よくスキルの熟練度を稼ぐことができる。


 現在の時刻は夕方であり、日が沈みかけているので、新規クエストを受注することはできない。


 そんな時でも、訓練場を使えば、安全に経験値を稼いで、強くなることができる。


 早速、俺たちは訓練場に向かった。


 訓練場では、大勢の冒険者たちで賑わっていた。


 訓練場の隅の、空いているスペースに向かう。


「今日は、主に格闘術を訓練しよう」


「……え? 格闘術、ですか?」

 そう言って、リリエルは首を傾げた。


「確かに、格闘術は実戦ではあまり使わないけど、格闘術の熟練度を上げておくと、全ステータスが底上げされて、戦闘技術が磨かれるから、こういうときに鍛えておくべきだよ」


「そうなんですか。でも、私は格闘術なんて、全く知らないですけど、大丈夫なんですか?」


「ああ、俺に任せてくれ。リリエルは、そこに横になって、身体の力を抜いてくれ」


「……こう、ですか?」

 俺の指示通りに、リリエルは床に寝転んだ。


 俺はリリエルに覆い被さり、寝技でガッチリと固めて拘束した。


「……ふぇ? あ、アレクさん、何をしてるんですか!?」

 リリエルは涙目になり、じたばたと抵抗したが、俺の拘束からは抜け出せない。


「こうやって寝技をかけていれば俺の格闘術の熟練度は上がるし、適度に抵抗していればリリエルの熟練度も上がる。簡単だろ?」


「……あ、あの、もっと恥ずかしくない方法はないんですか?」


「どうしても嫌なら、きっちり型稽古から始まることもできるけど、とにかく時間がかかるし、面倒だぞ?」


「……分かりました。アレクさんを信じて、このまま頑張ってみます」

 リリエルが抵抗するたびに、柔らかい胸の感触が伝わってくる。

 とても心地良い。





 無事、訓練は終了した。


「ちょっと恥ずかしかったですけど、アレクさんのおかげで、強くなれた気がします。ありがとうございました」

 そう言って、リリエルはペコリと頭を下げた。


 リリエルは汗だくになり、シスター服は身体に張り付き、豊満な身体のラインを浮き立たせていた。


 通りを歩く男たちが、リリエルに不埒な視線を向けていた。


 俺は【威圧】スキルを発動して、男たちを追い払った。


「……アレクさんは、すごく強いですよね。どうしたら、私もアレクさんみたいに強くなれるのでしょうか?」


「地道にレベルを上げて、得意分野を磨いていけば強くなれるよ。リリエルの育成方針はもう決まっているから、心配しないでくれ」


「……はい! アレクさんと一緒なら安心です!」


 俺たちは、カップルのように腕を組んで、大通りを歩いてデートを楽しんだ。


 


 

 


 


 



 


 



 

 

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RPGのモブキャラとして異世界に転生したので、原作知識で成り上がって無双して美少女ハーレムパーティーを作る 平野 ユウ @hiranoyuu

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