第2話

 俺たちは、地下水道を出て、はじまりの街トラメルに帰還した。


 冒険者ギルドにクエスト達成を報告して、報酬を受け取る。


 冒険者ギルドには、ランクシステムが存在する。


 F~SSSランクに分かれており、現在の俺はFランクだ。


 トワイライト・クロニクルをクリアするためには、SSSランクまで昇格しなければならない。


 冒険者ランクを上げるためには、冒険者ギルドのクエストをクリアして、冒険者ポイントを貯める必要がある。


 クエスト達成によって、資金や経験値も稼げるので、クエストを次々と受注してクリアしていく流れが基本となる。


「クエスト達成、おめでとうございます。スライムには本当に困っていたので、まとめて倒していただけて助かります。他にも、クエストを受注しますか?」


 俺は、再びクエスト一覧表を眺めた。


「……たくさんありますね。どれが良いのでしょうか?」

 リリエルは、クエスト一覧表を見て、頭を悩ませていた。


「俺が決めてもいいかな?」


「はい、お任せします」


 俺たちは、ベセホト洞窟踏破クエストを受注した。





 俺たちは、ベゼホト洞窟に到着した。


 ベゼホト洞窟は、主にゴブリンが出現するFランクダンジョンだ。


 初心者向けダンジョンであり、踏破すると【見習い冒険者】の称号を獲得できる。


【見習い冒険者】の称号を所持していると、獲得経験値量が上昇するので、早めに踏破しておきたい。


 俺たちは、ベゼホト洞窟に足を踏み入れた。


「【ライト】」

 俺はライトを詠唱した。


 すると、光球が出現して、辺りを明るく照らした。


「ダンジョン攻略前に、ステータスを強化しておきますね。【聖なる祝福】」

 リリエルは、聖なる祝福を詠唱した。


 俺たちの身体を暖かな光が包み、ステータスが全体的に上昇した。


 聖なる祝福は優秀な補助魔法だ。


 ベゼホト洞窟は、全3階層のダンジョンだ。


 第1階層では、ゴブリンだけが出現する。


「グギャギャギャ!」


 早速、ゴブリンが現れた。


「【ライトニングボルト】」

 俺は、ライトニングボルトを詠唱してゴブリンを倒した。


 ライトニングボルトは、初級攻撃魔法の中では威力が高くて、簡易追尾機能付きで当てやすいので、頻繁に使用する。


 その後も、順調に攻略は進んだ。


 ゴブリン相手に、苦戦する要素はない。


 ……おお!


 俺は、ランダム宝箱を発見した。


【罠解除】スキルで罠を解除し、安全に宝箱を開けた。


 ランダム宝箱の中身は、ヒーリングポーションだった。


 ヒーリングポーションは、中級クラスの回復アイテムだ。


 店では販売されていないので、【錬金術】スキルで調合するか、宝箱などから入手するしかない。


 ランダム宝箱の中身としては、大当たりのアイテムだ。





 ダンジョン内では、階段が存在する。


 階段を降りることで、次の階層に進むことができる。


 階層の周辺は、強力なボスモンスターによって警備されている。


「グガ! グガグガグガ!」

 第1階層のボスモンスターは、ホブゴブリンだ。


 体長はゴブリンよりも遥かに大きく、硬い表皮で覆われている。


 ホブゴブリンは、取り巻きとしてゴブリンの大群を率いていた。


「【ライトニングボルト】【ライトニングボルト】【ライトニングボルト】」

 俺はライトニングボルトを連打して、ゴブリンの大群を倒した。


「グガ!?」

 ホブゴブリンは、動揺したような声を上げた。


「【ホーリーアロー】」

 リリエルは、ホーリーアローを詠唱した。

 

 白い矢がホブゴブリンに猛スピードで飛んでいき、勢いよく刺さった。


「グガアアアアアア!」

 ホブゴブリンは、怒り狂った様子でこちらに突撃してきた。


「【落とし穴】」

 俺は、ホブゴブリンの進路上に落とし穴を設置した。


 ホブゴブリンは、落とし穴にハマって動けなくなった。


「【グランドハンマー】」

 俺は、グランドハンマーを詠唱した。


 すると、巨大なハンマーが生成され、ホブゴブリンに襲いかかった。


「グガ……」


 すると、ホブゴブリンは一撃で倒れた。


 グランドハンマーは、セットアップに時間がかかるが高威力の魔法であり、動けない敵を仕留めるのに有効だ。


 ホブゴブリンを倒して、俺のレベルは18まで上がり、リリエルのレベルも11まで上がった。


 俺たちは、階段を降りて第2階層に向かった。





 俺たちは、第2階層に到着した。


「グギャギャギャ!」

 すると、ゴブリンソルジャーが出現した。


 これまでのゴブリンの装備は棍棒だったが、ゴブリンソルジャーは剣を装備しており、金属鎧も身に着けている。


「【ライトニングボルト】」

 しかし、相変わらずライトニングボルト一撃で倒せるので、大した差はない。


 第2階層には、精霊の湖が存在する。


 精霊の湖の水を飲むと、成長率が少し上昇する。


 アレクは、初期ステータスは高いが成長率が低いお助けキャラだ。


 それを補うために、精霊の湖の水は是非飲んでおきたい。


 俺たちは、ゴブリンソルジャーを倒しながら、精霊の湖に向かった。





 俺たちは、精霊の湖に到着した。


「綺麗な場所ですね……」


「ああ」


 精霊の湖周辺は、精霊の加護が働いているので、モンスターは出現しない。


 安全地帯だ。


 俺たちは、精霊の湖の水を飲んで一休みした。


「おお! 冒険者さんかね? ゴブリン素材があるなら買い取るよ」

 すると、行商人が声をかけてきた。


 安全地帯では、こうした行商人が滞在していることがある。


「ああ」

 俺たちは、ゴブリン素材を換金した。


「何か見ていくかね?」

 そう言って、行商人は商品一覧を見せてきた。


「これ、可愛いですね……」

 リリエルは、ミラクルリボンを気に入ったようだ。


 ミラクルリボンは、状態異常耐性を上げ、幸運を大きく上昇させる優秀な装備だ。


「プレゼントしようか?」


「……え? いいんですか?」


「ああ。リリエルは可愛いから、そのリボンもきっと似合うよ」


 俺は、ミラクルリボンを購入して、リリエルにプレゼントした。


 早速、リリエルはミラクルリボンを装備した。


 アイテムをプレゼントすると、キャラクターの好感度が上がる。


 好感度に応じて、キャラクタークエストが開放されていくので、好感度稼ぎは重要だ。





 精霊の湖を出て、第2階層の階段に向かった。


 第2階層のボスは、ジャイアントワームだ。


 巨大な身体で、通路を塞いでいる。


「【奥義:次元斬】」

 俺は次元斬で、ジャイアントワームを即死させた。


 トワイライト・クロニクルにおいては、即死耐性を持たないボスモンスターは意外と多い。


 魔剣ソウルイーターを装備していれば、ゲーム開始直後でも次元斬を撃てる。


 ジャイアントワームを倒して、俺のレベルは20まで上がり、リリエルのレベルは14まで上がった。


 トワイライト・クロニクルにおいては、レベル上げが重要だ。


 効率よく経験値を稼いで強くなることで、さらに強い相手と戦えるようになる。


 俺たちは、階段を降りて第3階層に向かった。





 

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