第2話
俺たちは、地下水道を出て、はじまりの街トラメルに帰還した。
冒険者ギルドにクエスト達成を報告して、報酬を受け取る。
冒険者ギルドには、ランクシステムが存在する。
F~SSSランクに分かれており、現在の俺はFランクだ。
トワイライト・クロニクルをクリアするためには、SSSランクまで昇格しなければならない。
冒険者ランクを上げるためには、冒険者ギルドのクエストをクリアして、冒険者ポイントを貯める必要がある。
クエスト達成によって、資金や経験値も稼げるので、クエストを次々と受注してクリアしていく流れが基本となる。
「クエスト達成、おめでとうございます。スライムには本当に困っていたので、まとめて倒していただけて助かります。他にも、クエストを受注しますか?」
俺は、再びクエスト一覧表を眺めた。
「……たくさんありますね。どれが良いのでしょうか?」
リリエルは、クエスト一覧表を見て、頭を悩ませていた。
「俺が決めてもいいかな?」
「はい、お任せします」
俺たちは、ベセホト洞窟踏破クエストを受注した。
◇
俺たちは、ベゼホト洞窟に到着した。
ベゼホト洞窟は、主にゴブリンが出現するFランクダンジョンだ。
初心者向けダンジョンであり、踏破すると【見習い冒険者】の称号を獲得できる。
【見習い冒険者】の称号を所持していると、獲得経験値量が上昇するので、早めに踏破しておきたい。
俺たちは、ベゼホト洞窟に足を踏み入れた。
「【ライト】」
俺はライトを詠唱した。
すると、光球が出現して、辺りを明るく照らした。
「ダンジョン攻略前に、ステータスを強化しておきますね。【聖なる祝福】」
リリエルは、聖なる祝福を詠唱した。
俺たちの身体を暖かな光が包み、ステータスが全体的に上昇した。
聖なる祝福は優秀な補助魔法だ。
ベゼホト洞窟は、全3階層のダンジョンだ。
第1階層では、ゴブリンだけが出現する。
「グギャギャギャ!」
早速、ゴブリンが現れた。
「【ライトニングボルト】」
俺は、ライトニングボルトを詠唱してゴブリンを倒した。
ライトニングボルトは、初級攻撃魔法の中では威力が高くて、簡易追尾機能付きで当てやすいので、頻繁に使用する。
その後も、順調に攻略は進んだ。
ゴブリン相手に、苦戦する要素はない。
……おお!
俺は、ランダム宝箱を発見した。
【罠解除】スキルで罠を解除し、安全に宝箱を開けた。
ランダム宝箱の中身は、ヒーリングポーションだった。
ヒーリングポーションは、中級クラスの回復アイテムだ。
店では販売されていないので、【錬金術】スキルで調合するか、宝箱などから入手するしかない。
ランダム宝箱の中身としては、大当たりのアイテムだ。
◇
ダンジョン内では、階段が存在する。
階段を降りることで、次の階層に進むことができる。
階層の周辺は、強力なボスモンスターによって警備されている。
「グガ! グガグガグガ!」
第1階層のボスモンスターは、ホブゴブリンだ。
体長はゴブリンよりも遥かに大きく、硬い表皮で覆われている。
ホブゴブリンは、取り巻きとしてゴブリンの大群を率いていた。
「【ライトニングボルト】【ライトニングボルト】【ライトニングボルト】」
俺はライトニングボルトを連打して、ゴブリンの大群を倒した。
「グガ!?」
ホブゴブリンは、動揺したような声を上げた。
「【ホーリーアロー】」
リリエルは、ホーリーアローを詠唱した。
白い矢がホブゴブリンに猛スピードで飛んでいき、勢いよく刺さった。
「グガアアアアアア!」
ホブゴブリンは、怒り狂った様子でこちらに突撃してきた。
「【落とし穴】」
俺は、ホブゴブリンの進路上に落とし穴を設置した。
ホブゴブリンは、落とし穴にハマって動けなくなった。
「【グランドハンマー】」
俺は、グランドハンマーを詠唱した。
すると、巨大なハンマーが生成され、ホブゴブリンに襲いかかった。
「グガ……」
すると、ホブゴブリンは一撃で倒れた。
グランドハンマーは、セットアップに時間がかかるが高威力の魔法であり、動けない敵を仕留めるのに有効だ。
ホブゴブリンを倒して、俺のレベルは18まで上がり、リリエルのレベルも11まで上がった。
俺たちは、階段を降りて第2階層に向かった。
◇
俺たちは、第2階層に到着した。
「グギャギャギャ!」
すると、ゴブリンソルジャーが出現した。
これまでのゴブリンの装備は棍棒だったが、ゴブリンソルジャーは剣を装備しており、金属鎧も身に着けている。
「【ライトニングボルト】」
しかし、相変わらずライトニングボルト一撃で倒せるので、大した差はない。
第2階層には、精霊の湖が存在する。
精霊の湖の水を飲むと、成長率が少し上昇する。
アレクは、初期ステータスは高いが成長率が低いお助けキャラだ。
それを補うために、精霊の湖の水は是非飲んでおきたい。
俺たちは、ゴブリンソルジャーを倒しながら、精霊の湖に向かった。
◇
俺たちは、精霊の湖に到着した。
「綺麗な場所ですね……」
「ああ」
精霊の湖周辺は、精霊の加護が働いているので、モンスターは出現しない。
安全地帯だ。
俺たちは、精霊の湖の水を飲んで一休みした。
「おお! 冒険者さんかね? ゴブリン素材があるなら買い取るよ」
すると、行商人が声をかけてきた。
安全地帯では、こうした行商人が滞在していることがある。
「ああ」
俺たちは、ゴブリン素材を換金した。
「何か見ていくかね?」
そう言って、行商人は商品一覧を見せてきた。
「これ、可愛いですね……」
リリエルは、ミラクルリボンを気に入ったようだ。
ミラクルリボンは、状態異常耐性を上げ、幸運を大きく上昇させる優秀な装備だ。
「プレゼントしようか?」
「……え? いいんですか?」
「ああ。リリエルは可愛いから、そのリボンもきっと似合うよ」
俺は、ミラクルリボンを購入して、リリエルにプレゼントした。
早速、リリエルはミラクルリボンを装備した。
アイテムをプレゼントすると、キャラクターの好感度が上がる。
好感度に応じて、キャラクタークエストが開放されていくので、好感度稼ぎは重要だ。
◇
精霊の湖を出て、第2階層の階段に向かった。
第2階層のボスは、ジャイアントワームだ。
巨大な身体で、通路を塞いでいる。
「【奥義:次元斬】」
俺は次元斬で、ジャイアントワームを即死させた。
トワイライト・クロニクルにおいては、即死耐性を持たないボスモンスターは意外と多い。
魔剣ソウルイーターを装備していれば、ゲーム開始直後でも次元斬を撃てる。
ジャイアントワームを倒して、俺のレベルは20まで上がり、リリエルのレベルは14まで上がった。
トワイライト・クロニクルにおいては、レベル上げが重要だ。
効率よく経験値を稼いで強くなることで、さらに強い相手と戦えるようになる。
俺たちは、階段を降りて第3階層に向かった。
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