仕方がないから汚そうか

伊井横 夷夜

お汚し、失礼します

「手荒な真似をしてすまない。」

攫って分かる賢者タイム。俺は言う。

「また戻ってきて欲しかっただけだ、今の俺達には、お前が必要なんだ。」

ヨリを戻したい彼氏。ではない。俺はそんな関係のオンナは居ない。

攫われの身の彼女、スマホカチカチタイム。どれどれ。「帰っていい?」だと?

「待ってくれ俺は空腹の人間を横目に自身の食事を優雅に愉しむような性根腐った悪すぎる趣味をもった男ではない。」

一息で言うとどうもこう、焦りが露呈する。

「お前も食べるか?」

実質間接キス。

「いいよ。毒とかあったらやだし。」

それが彼女の最初の言葉だ。今まで首を振ることでしか対応しなかった彼女が話した。

「んな、自分が食うもんに毒盛るアホがどこにいるってんだ。むぅ、美味いのになあ。」

彼女が縦に首を振ればやるつもりだったチキンステーキの切り端体積約30立方センチを口に入れた。

もちもち。きっと彼女の頬はそんな感触なんだろう。もし彼女がチキンステーキになったなら、俺は頬肉と脇腹、二の腕を頂こう。

「どこみてんの。」

失策。俺はついつい彼女の豊満な胸を見つめていたらしい。男たる者皆通る道。実際これを見てみろ。視線を注がずにはいられない。

という情報に対する弁解を俺の頭で圧縮した結果、外部に出た声帯を通った空気は「ニャ」という一音だった。

「…にその声は」

呆れられた。

「アダムとイヴになろう!お前と!俺で。」

焦りの果て正常に機能しなくなった思考回路が致命的な問題を抱えた。

彼女は発声すらせず、穏やかな顔に怖いほど笑みを浮かべ、華奢な腕で椅子を持ち上げた次には俺を殴っていた。

椅子だった木材が彼女の手に取られ、口に押し込められる。

「しんでね」

オーガニック成分たっぷりの木材だ。これを食べれば健康になれる……訳ではない。俺が口にしたいのは彼女の唇…乳房??…ではなくチキンステーキだ!彼女の力が木材に集中し、舌が木材の面に沿って凹み、後頭部を貫通するビジョンが見えた。

「オンナの敵。しんでね」

先程から痛みに喘ぎ叫んでいるが彼女の力は緩む気配を見せない。因みに彼女は俺の上に乗っかっている。しかもそれは腰の上だ。この痛みさえ無ければ俺のデザートイーグルが反応し本能の赴くまま次の瞬間攻守一転し彼女の豊満な肉体の中を調査した頃であろう。

一瞬巡ったピンクな考えを元にどうせ逝く前に一矢報いようと俺の右手が彼女の左胸を掠めた。シフォンケーキのような柔らかさに一瞬の優越を覚えつつ彼女の一瞬の怯みを見逃さなかった。このオンナ、

「んっ…」

やった。頭突きで彼女を更に怯ませ、大きく反った彼女の体重が後ろに向いた内に上半身を起こし、彼女の両肩を強く押して後ろ向きに転倒させ脚の自由も得た。起き上がろうとする彼女の後ろに素早く回り、羽交い締めにしそのまま前に押し倒した。

「一転攻勢、気分は?」「んぐぐ…」

余裕が出来た俺は彼女の内腿に挟まれるデザートイーグルに神経を向ける事を許した。ああ固く大きくなってしまった。

「ヤダ!ヘンタイ!ケダモノ!チカン!」

嗚呼生殖本能が合唱している、彼女とと。

しかし挟まれていたのと生殖本能が働き異様な興奮状態だったのが運のツキだった。彼女は太腿をクネクネさせデザートイーグルを刺激してくる。刺激的であり、俺は着衣の中でICBMを打ち上げるのか。辞めろそれで終わるなと俺の生殖本能が言っている。着衣のまま終わってたまるか。

それなら仕方がないこちらも手を打とう。彼女を羽交い締めにしていた右腕を解き、彼女の下半身の着衣の中に手を入れた。

「やだ!やめて!バカ!アホ!しね!」

彼女は着衣の上からだが、こちらは直接触っている。途端に彼女は太腿の運動を辞め、こちらを触らせまいと脚を全力で閉じ、自由を得た右手で必死に俺の右腕を引っ張っている。

然し柔らかな太腿の肉は俺の細く骨ばった指に押しのけられ、桃色の洞窟への到達を許してしまった。

「や…だ…ごめんなさい…それだけは…ほんとに…」

突然弱気になる彼女だが、こちらがやられたのは最早死への誘いである。落とし前は付けてもらおうではないか!

「洞窟大作戦!はじまります!!」

諦めた様に力の弱くなった太腿の間を手が一気に進み指の先端は洞窟の中に突入した!!最早彼女の右手は俺の右腕を掴んでいるだけとなっている。傍から見れば彼女が俺の腕を使ってそういう事をしている風にも見えそうだ。

泣き出した彼女は先程までの馬鹿力の余韻も無い情けない物である。あーあ残念、汚れちゃったね。

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仕方がないから汚そうか 伊井横 夷夜 @Imnoob_reportme

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