第4話 人生、黒
放課後、窓から見る景色。それは形容しがたい景色で、あまりに美しい誰そ彼時。写真として劣化コピーを残してもいいが、私は写真を撮るのがこれでもかと言うくらい下手だ。それに毎日訪れる黄昏時のただその一瞬間が今日も過ぎ去って行くだけだ。そう思いを耽ける私は、美術室にいた。いつもよりも美しく見えたのは、今日が『Guitar Fairy』について知った日だからだろうか。
ーパチッ 電気が消える。
強制的に集中状態から引き戻したのは、例の森川センセだ。
「今日はもう終わりだ。下校時刻だから帰りなさい。」
優しい声。それは慈愛の[青桃色]。
森川センセは確かこの学校の卒業生だったはずだ。ー『Guitar Fairy』を知っているかもしれない。
別にそこまで気にしていた訳ではないつもりであったが、なぜかずっとその存在が頭から離れなかった。
「先生は『Guitar Fairy』って知ってますか?」
「知っているよ。」
その一言はまるで森川先生の[人生]を表したような色だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺が職員室に戻ると、高校時代の恩師、高橋真澄先生が話しかけてきた。
「今、ギターフェアリーが再来しているらしいですね?」
楽しそうな[桃黄色]で続ける。
「森川くんと、黒井ちゃんがいた頃を思い出しますねぇ。...おっと、今ではどちらも森川さんでしたか。」
こちらを散々弄ってくる。正直恥ずかしいが、あの思い出は誰にも感じえない特別な体験だった。俺自身思い出に浸り、微笑しながら返す。
「やめてくださいよ。」
「やめません。まさか君たちのためにあげたあの鍵を渡してしまうだなんて。言ってくれればもう1組なんて容易に作ってあげたのに。」
冗談だということはわかっていたが、俺はすみません。と会釈した。
いつの間にか2人は[茜色]に染っていた気がした。
Guitar fairy @doushi
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