第259話 清少納言、篳篥(ひちりき)をディスる

 『枕草子』の207段は『笛は横笛』である。


 ・横笛が最高!

 ・しょうは吹いてる人の顔が見えない。

 ・下手な奴が吹く篳篥ひちりきは最悪。


 以上が、内容をまとめたもの。

 で、本題は自作の『黄泉月の物語』に移る。

 未読の方には申し訳ないが、本編に解説を差し込みたくなかったので、ここに記して置く。


 その本編190話に。主人公たち四人が雅楽風に合奏するシーンがある。

 巫子いちこさまの剣舞の伴奏役だ。


 巫子いちこさまの衣装は『御引直衣に長袴を二枚』重ねた。

 長袴の二枚重ねは、童女正装の『汗衫かざみ』にみられる着装だ。

 『御引直衣』は、『大河ドラマ・光る君へ』の一条天皇がお召しの直衣の裾を長く曳く装束。


 それを囲んで。白い直衣姿の四人が合奏するのだが――

 誰にどの楽器を当てるか悩みまくった。


 横笛・篳篥ひちりきしょうは、笛の三点セットで、これは外せない。

 しかし、清少納言が篳篥ひちりきをディスッてるので、モヤっと感が抜けず。

 じゃあ、それを抜いて琵琶を入れることにするか?

 残り一枠は、琴として……


 てことで、琴の中からそうを選択。

 『源氏物語』では、慎み深い明石の御方(源氏の愛人)が、そうの達人だった。

 ただし、後年の女たちの合奏シーンでは、琵琶を弾いている。

 作者が「そうの達人」設定を忘れたか、その部分を別作者が執筆したのかも知れない。

 『源氏物語』の「複数作者説」は、けっこう有名だと思う。

 光源氏のモデルは『源高明』説があるが、『光る君へ』での道長妻の明子が高明の娘に当たる。


 話を戻すが、そうを検索すると、男性が膝に乗せて弾いている画像が出る。

 なので、拙作でもそれを想定して書いた。

 そうを弾く時は少し前屈みになるとも考え、長身の水葉月みずはづきを奏者に選んだ。

 清少納言にディスられた篳篥ひちりきは止め、笙・横笛(龍笛)・琵琶を残りの三人(神名月かみなづき雨月うげつ如月きさらぎ)に当てた。


 以下、本文より↓


 東を守る雨月うげつ殿が奏でるは、龍笛。

 西を守る如月きさらぎ殿が奏でるは、琵琶。

 南を守る水葉月みずはづき殿が奏でるは、筝。

 北を守る神名月かみなづき殿が奏でるは、笙。



 最終的に、文字数も考慮してこうなった。

 主人公が「演奏中に顔が半分隠れる」笙になったのは仕方ない。

 でも、久し振りに心から楽しんで描いたパートだ。

 やはり『和』は良いものだ。


 余談だが、今朝はとんでもなく暑かった。

 出勤前に、チョコバ●キーを一本食べた。

 近所のセ●コーマートに一袋単位で売っているので嬉しい。

 チョコとバニラの組み合わせは最高だ!


 一応、190話のリンクを貼って置きます↓

https://kakuyomu.jp/works/16816700428178248114/episodes/16818093081992577752

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