第106話 この世ならぬ人の夢を瞬間的に見る

 ごくたまに、寝入る瞬間に数秒間?の夢を見ることがあります。

 それは、たいがい亡くなった誰かが出て来る夢です。


 覚えているのは、祖父が亡くなって半月ぐらい後に見た夢です。

 リビングで、昼寝用の布団を敷いて転寝していた時でした。

 すると、向かいのソファーに寝ている祖父が転げ落ちた夢を見ました。

 

 そのソファーは、祖父は認知症を患ってからは、夜もベッド代わりに寝ることが多かったお気に入りでした。

 見守りのために、私はコーヒーテーブルを挟んだ向かいに布団を敷いて寝ていました。

 ちょうど今、昼寝していた場所がそこです。


 見た夢に、ハッと目が覚めました。

 体感的に、ほんの一秒か二秒。

 僅かな瞬間だったけれど、はっきりと祖父の姿を見たのです。

 ただし、背を向けていて顔は見えませんでした。



 見た夢が余りにもリアルだったので、両親に話しました。

 そして四十九日も近い頃。

 今度は、母が祖父の夢を一瞬だけ見ました。


 祖父の骨壺が倒れ、蓋が開いていて、お骨が零れている夢です。

 何かの暗示なのかは知るべくもないけれど、その後は何事もなく四十九日を迎えて納骨。

 感染症の真っ最中だったので、同居していた私たち家族三人での納骨でした。

 

 

 以降も、たまに祖父は夢に出て来ます。

 ただし、一瞬の夢ではありません。

 けれど、一瞬の夢の方がリアルなのは何故でしょうか?


 

 そして一昨日。

 寝付く直前に、スズメがリビングを飛び、蛍光灯に停まろうとしている一瞬の夢を見ました。

 このエッセイの第100話で記したスズメでしょうか?

 もしかしたら、まだ家の中に居るのかも知れません。

 

 

 ――あと少し、居ていいんだよ。

 ――家の中は温かいからね。

 ――でも、春が来たら空に還ろうね。



 一応、第100話「スズメさんのお葬式」のリンクを貼って置きます。

https://kakuyomu.jp/works/16817139555149987426/episodes/16817330652006662865

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