第107話 男は、殴り合って分かり合う

 弓道青春アニメ『ツルネ ― つながりの一射 ―』の四話を観て、ふと思った。

 令和になっても「殴り合って分かり合う」ストーリーは不変だった。

 弓道なので、さすがに殴り合いは無しだけど、コンセプトは同じ。

 男のモヤモヤは、殴り合うことで解消するしか無いのか。

 

 

 この手の話で忘れられないのが、ジョン・カーペンター監督の映画『ゼイリブ』。

 観たのが中学生ぐらいだったので、細部は失念。

 ストーリーは――謎のサングラスを入手した主人公。

 それを掛けると、人間に化けていた宇宙人の正体が一目瞭然。


 主人公(演ずるはプロレスラー)は、友人にもサングラスを見せる。


「お前も掛けろ!」

「イヤだー!!」


 かくしてスラム街っぽい場所で、主人公と友人のプロレスシーンが長々と続くのだ!

 監督は、このシーンがやりたくて主人公にプロレスラーを起用したとしか思えん。

 ただの時間稼ぎなのか、監督の趣味なのか知らんが、観ていて唖然としたのを覚えている。


 結局、友人はサングラスを掛け(ダウンした所を掛けさせられたんだっけ?)、宇宙人に気付くのである。

 二人の男が分かり合う感動の習慣だ!



 ジョン・カーペンター監督と言えば、「物体X」が有名だけど、これにもヌルヌルの思い出がある。

 内容を知らぬ頃、食事中に観てしまった。

 ラストシーン近くのヌル光りする怪物に、思わず箸が止まる。

 箸の先には、小鉢に入った昆布豆!

 昆布豆のヌルヌルと怪物のヌルヌル。

 昆布豆=物体X、の図式は今も消えない。



 殴り合いと言えば、同じ頃に観た『新スタートレック』の映画。

『ジェネレーションズ』だったか?

 これまたストーリーの細部は失念。

 けれどピカード艦長と、カーク船長が出て来る映画だ。

 新旧エンタープライズ号の艦長と船長の夢の共演だよ!


 そしてクライマックスは、艦長・船長と悪の科学者が砂漠で殴り合いをするのだ!

 いや、待て。

 これはSF映画だぞ?

 砂漠で男三人が殴り合うって西部劇かよ?

 

 けれど考えてみれば、カーク船長は馬に乗って登場したな。

 今になって納得した。

 これはSFの皮を被った西部劇だったのだ!


 まあ、さすがにこちらは殴り合って和解できず、科学者死亡。

 カーク船長も殉職。

 そして世代は交代していく。


 

 私はスタトレを愛している訳だが、その昔にスタトレの薄い本を買ってしまったことがある。

 カーク船長とMrスポックの本である。

 本国でも、昔からその手合いの本は多かったと、その少し後に知る。

 スラッシュフィクションと言うそうだが、検索したら『宇宙大作戦スタートレック』ファンが元祖らしいと出る。

 

 殴り合いの話から、愛の世界へ。

 やはり、愛は偉大なのだ(多分)。

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