第98話 円を28等分に分割する方法

 自作で、登場キャラの子供たちが『円に直線を引いて、28等分に分ける』課題に取り組むエピソードを出した。


 何かの占星術『28等分にして運勢を見る』を参考にしたのですが……あれ?

 文章に書き起こした後、実際に円を描いて直線を引いて見ると、『直線で区切っただけでは28等分にならない』と気付く。


 作中の子供たちも「あれえ?」と当惑したが、数学が大の苦手だった私が一番当惑する。

 検索したら、数式や『七角形を使った書き方』とかが出て来たけれど、数学や物理が大の苦手だった私の頭では理解不能。

 見て数秒後には、ウィンドウを閉じた。

 

 エクセルで均等分割できる方法があるようですが、私のノートPCにはエクセルもワードも入っていない。

 前のノートPCが、当時書いていたブログがアップデートで書けなくなり、新たに買い求めたのがバ〇オ。

 札幌の量販店で見回っていると、バ〇オがカスタムオーダー可能と知り、店員さんと相談してカスタム仕様を買うことに決めた。


 ネット閲覧とブログ作成用に使うので、不要と思われたエクセルとワードは入れなかった。

 それでも15万ぐらいだったか?

 まあ、市販の同性能の物と変わらない価格だ。


 まあ、今回の円分割も実際に試すわけでも無し。

 エクセルとワード抜きで困ったことは無い。


 

 話を戻すと――

 執筆中の物語の舞台は、平安時代風。

 当時の学問を検索すると、中国では高度な計算式が確立していたらしい。

 マッチ棒のような『算木』を並べた数字の表示法も在ったとのこと。


 それらを参考に、物語の該当部分を執筆した。

 数式がどうのは、私の今後の人生には無縁だろう。

 それでも、執筆の参考にしたいと調べてみると面白かった。


 ついでなので……その執筆部分をコピペしました。

 『黄泉月の物語』の第110話です。


 

  * * *

 

 

 そこは、近衛府の武徳殿ぶとくでんだった。

 修練中の幼い雨月うげつたちが過ごした殿舎だ。

 セオ・アラーシュ・アトルシオ・リーオが寝食を共にした家だ。


 懐かしい匂いに酔い、その心地良さに瞼が下がる。

 懐かしい夢に、思わず手を伸ばす。

 

 伸ばした手の先にあるのは、使い込んだ筆だ。

 柄は黒ずみ、毛先は四方に開いている。

 けれど毛が抜けるまで使い込み、最後に供養して火にべる習わしだ。



「ほーら、こうやって円を書いて……」

 アラーシュが筆を取り、文机の上の『き返し紙(再生紙)』に、太い円を記す。

「……毛羽立って書きづらいなあ」


 貴族の彼は、質の悪い『き返し紙』がお気に召さないのだろう。

 だが、リーオは目を輝かせて見ている。

 紙も筆も、庶民には手の届かぬ貴重品だ。

 ましてや農民には不要な品でもあり、帝都に来るまでは見たことも無かった。


「それで、どうやるんだ?」

 向かいに座っていたアトルシオは、声を潜めて訊ねる。

 部屋を仕切る障子の向こうからも、童子たちの声が響く。

 術士見習いの童子たちが、今日教わった『宿曜すくよう星宮せいぐう占道せんどう』について話しているのだろう。

 

 夕げの後の自由時間だが、最近は誰もが軽い緊張感を持って過ごしている。

 他の組の童子たちは、競争相手でもあるのだ。

 二百人余りの童子から、『近衛府の四将』に選ばれるのは四人一組だけ。

 教わったことを仲間で共有し、将来のために吸収しなければならない。

 十歳に満たないアトルシオも、必死に図面を見つめる。



「リーオも書きなよ」

 アラーシュは筆を差し出すが、筆使いに自信の無いリーオは首を振るばかりだ。


「うん、とにかく円の中を区切るんだよ。二十八に分ける」

 アラーシュは、円を直線で分割していく。


「これで十六……あれえ?」

「……それを半分ずつにしたら、二十八より多くなるよ?」

「……線の引き方が違うんじゃないかな。導師様は、どうやっていた?」

「知らない。記した紙を吊るしただけだから」

 

 アトルシオとセオは円を覗き込み、リーオは困惑して背を縮める。

 言い出したアラーシュも、筆を宙に留めたまま気まずそうに仲間を見る。


「とっ、とにかく円の中を二十八に分けて、生まれた年や月、刻を割り当てる。そこから守護鳥を決めて、産まれた赤さんの命名をする。それが、一生の運命に結び付くんだって」


「『算術占道せんどう』は、アラーシュが書いた十六に分ければ済むのにな」

 セオは、一同を宥める。

 細長い算木を縦横に並べる計算方法や、田畑の広さを求める方法も教わっているが、さすがに円を二十八等分する方法は分からない。

 大学寮の試験に出そうな難問に思える。


 『き返し紙』も、ひと月に使える枚数は定められており、余分には使えない。

 四人は紙の上に算木を並べ、燈台の油が切れるまで、円を二十八等分する方法を試し続けた。

 いつしか『宿曜すくよう星宮せいぐう占道せんどう』のことは、頭から離れていた――。



 * * *


 

 ――以上。

 回想シーンですが、この子たちの話を書くのは楽しい。

 つーか、彼らが生きた過去世の異世界シーンは楽しく書ける。

 大好きな平安時代をベースにしているから。


 まあ、そのおかげで一時でも数学について考えたのも楽しかった。

 頭の、普段使わない部分を動かした気がしたので。

 一応、該当の『黄泉月の物語』の第110話のリンクも貼って置きます。

 

https://kakuyomu.jp/works/16816700428178248114/episodes/16817330651692331148

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