祠を壊されて怒った怨霊が「子々孫々まで祟ってやる」と現れたものの、相手はブラック企業で心身の調子を崩した男性だった!
「健康上も経済上も、結婚して子どもを持つのは無理」と断言された怨霊は、「子孫をつながせて祟ってやる!」と、あれこれ世話を焼くことに……。
手始めは栄養に気を配った料理から。
あれ、それって祟り? 本末転倒? なところから始まるコメディ。
この物語のすごいところは、キャラクターのバックボーンがしっかりとあり、それがじわじわと効いてくるところ。
怨霊は、なぜ「子々孫々まで」祟りたいのか。
なぜ最強の怨霊なのに、あらぶることなく主人公に接するようになったのか。
主人公が「俺で末代」と考える、一段深い理由とは何か。
それらが明かされるエピソードは、感涙必至です。
過去に深く傷つき、報われなかった彼らが、互いを思いやることで癒やし癒され、かけがえのない日常と関係を築いていく。
怨霊を封じるために現れた霊能力者や近所の主婦など、広がる人の輪と、彼ら彼女らとの関係も見どころです。
彼らが交流を深めるのは、タイプは違えど、不器用ながら、相手の気持ちや対話を大切にする普通の人たち。
ハートウォーミングでチャーミング、笑って泣ける物語。
ファーストシーズンのラストまで読めば、彼らから目が離せなくなるはず!
ブラック企業で壊されて自律神経失調症を抱えた孤独な男性と様々な恨みつらみの集合体であるはずの怨霊がお互いに癒し合うハートフルストーリーだと思います。
淡々としているけれど、いいまわしというか、表現が秀逸で、ニヤッとしてしまいます。
お菓子を買ってもらって喜ぶ日本最強レベルの怨霊に世話を焼かれて、ちょっとずつ健康と人間性を取り戻しつつある主人公にはぜひ幸せになっていただきたいのですが。
恋人ができて子孫繁栄するよりも、このままの暮らしを続ける方が幸せそうな気がしてしまいます。怨霊にとっても。
最新話まで追いついたら気になるところで終わっていたので、どうかお早めに続きをお恵みください!
なぜこんなに読まれていないのか不思議なくらいの素晴らしい作品です。
傑作になる予感しかしない。
更新を待つ間、作者様の他の作品を楽しませていただこうと思います。