他の人と比べてみて

『書籍化しました!』

『書籍化しました!』

『書籍化しました!』


 最近、書籍化する人が多いなぁ……。


『なんかノリで書いてたら、書籍化しちゃったZE☆』

『じゃんじゃん書籍化しちゃうゾ~』


 みんな、俺なんかと違って、そんな軽い気持ちで書籍化できちゃうんだ……。


 俺なんかと違って……。


「他人と比較するのは不幸の元ですわよ、お兄様」


 ハッ!? その声は……優雅に応援してくれる、銀髪ロングお嬢様の脳内天使(13)ちゃん!


「お兄様の目標は書籍化ではなく、自分が納得いく作品を書籍化させることですわ。仮に他の方と似たような作品を書いて書籍化したところで、お兄様は幸せになれますの?」


 ……なれない、かな。


「そう、それが答え。だから、他の方と比較しても意味なんてありませんわ」


 で、でも……俺みたいなレベルの小説なんて、他の凄い作家さんたちは簡単に書けちゃうだろうし……。


「あら。お兄様の作品は誰にも書けませんことよ?」


 えっ……?


「世界中にいるどの作家さんにも、書籍化している作家さんにも、ましてや誰もが知っているような有名な作家さんにも。お兄様の作品を書けるのはお兄様だけですわ」


 俺だけが書ける小説……。


 …………。

 ……………………。


 ……よぅし。今日も俺の小説が書籍化するよう、頑張って書くぞ!


「ふふっ。お兄様の小説が完成するの、わたくし楽しみにしておりますわ」


 今日も可愛い天使に励まされて、俺はペンを握った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Web小説家をただ応援してくれるロリっ娘たち 恋2=サクシア @koi2-writer

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ