30歳にはなりたくない

ロックシンガーの君が32歳で亡くなってから、12年が経った。


当時私は17歳。


君の死にあれだけ向き合いたくなくて、毎日泣いて毎日死にたかったのに、12年も生きながらえ、29歳になってしまった。


あと1年で、君の歳に追いついてしまう。


嫌で嫌で仕方ない。君にはずっと、私の年上でいてほしい。ずっと憧れのお兄さんでいてほしいのだ。


君と同じ歳というだけで、なんだか君がその1年見てきた景色が私にも見えてしまうようで、怖い。


多分中途半端な数字ならただ感慨深いだけだったかもしれない。


でも30歳って、やっぱり特別だよね。1つの区切りだし、20代のままではもういられないという焦燥感にも襲われる。


きっと君も同じように感じたんだよね。


それが、君が最後に残した歌の痛々しさを生々しくさせ、私の肌までを突き刺すような気がするんだ。


だから今までよりも、もっともっと君がいないことを辛く感じてしまうかもしれない。


カレンダーを1枚1枚めくるたび、君の影に連れていかれそうになるんだ。


推しの力とは、こんなにも強いものか。

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君がいなくなったあとの世界で ましま志乃 @mkao_renour

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