さよならのあと

@pafflera

第1話

彼が好きじゃなくなった。いや、大分前からもう好きではなかった。

別れを告げて、LINEもインスタもお互い全部ブロックした。

馬鹿みたいなことばっかり言うところが嫌だった。人の目を気にしない空気を読めないところが鬱陶しかった。すぐ拗ねて機嫌を悪くするくせに拗ねてないみたいに振る舞うところが癪に触った。口先だけのところが嫌いだった。

でも、彼を愛せなかった私の方が不良品みたいな、そんな気になっている。

彼はやはり堂々としていて、まるで間違いがないかのように見える。

わたしは何かの影に隠れては、頭の中で考え込んでいるばかりだった。

誰かを責めて、何かを疑って、きっと彼と出会う前も、別れた今も、私はずっと不良品なのであろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

さよならのあと @pafflera

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る