第20話 ミッション
あおいは、今回のミッションについて考えた。何も浮かばなかった。あおいは、とりあえず、自分がしたいことをすることにした。もうすぐ私は死ぬのだから、悔いの残らない人生で終わりたい。まず何をしようか?あおいは、タバコと、酒しか頭に浮かばなかった。とりあえず、誰でもいいかと、セブンスターを吸っている人を探した。案外、直ぐに見つかった。ぱっとしないサラリーマン風の男であったが、乗り移ることにした。あおいが、男の手を握ると、“ドクンッ”。乗り移ることに成功した。まずは一服、一服と、新しいタバコを手に取り、火をつけた。「ふー。やっぱり、タバコはセブンスターに限るねー。施設に入って以来かー。死ぬ前に、“猶予”を与えてくれるなんて、神様も粋なことするね〜。」とぶつぶつ言いながら、行きつけの居酒屋へと足を運んだ。「いらっしゃいませ~!」と店員が挨拶をする。店内には焼き鳥と、酒の匂いで充満している。「この感じ、この感じ!」と、ワクワクしながら、カウンターへと座った。まずは、生ビールを大ジョッキで注文した。「くぅ〜。染みるー。」とあおいの声が店内に響いた。枝豆と、焼き鳥を適当に、焼酎のロックも注文した。誰かと喋りたかった。隣で、黙々と飲んでいる女性に絡んだ。「飲んでる〜?」女性は怪訝な顔をして、あおいを見た。あおいは言った。「人生なんてあっという間だからね!人生程、儚いものはないっ!大事に生きろよ〜。」女性は、「お勘定。」と言って、店を後にした。
あおいはまた一人ぼっちになってしまった。ちびちびと焼酎に口をつけながら、27歳の夏の思い出に浸った。
「りえ、、、。まなぶさん、、、。どうしてるかな~。まなぶさんは、死んでるよな〜。」と独り言を言った。
そしてまた、今回のミッションについて考えだした。あおいはこう結論づけた。「悔いの無い人生にする、、、。そうだ!私、恋をする!イケメンと付き合って、チューをするのよ!」その心の声は、またしても店内に響き渡った。あおいは、赤面した。そして、店員に、「焼酎、おかわり。」と注文するのだった。
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