第18話 過去編

未成年の喫煙、飲酒の場面があります。


 あおい。17歳。この頃から人生に対して悲観的になっていた。毎日毎日、同じ事の繰り返し。クラスメイトとのくだらない会話、家では、両親の喧嘩の板挟み。もう、うんざりだった。


 “人の本質とは、人を見下すことだ。人を倒すことだ。人を殺す事だ。”そんな哲学的思考になっていた。


 ストレスを和らげるため、あおいはタバコと酒に手を出した。初めて吸ったのは、マルボロのメンソール。タバコは、あおいの脳を麻痺させてくれた。その頃のタバコはタスポを使うことなく、自販機で買えていた。1箱250円位だっただろうか。安かった。

 ある休みの日、あおいは近くの酒屋で麦焼酎1リットルを買い、一気飲みした。その時は、酒の飲み方なんて知らなかった。タバコに火を付け、半分位吸った所で意識を失った。気がつくと、あおいは病院のベットで点滴を受けていた。その後、看護婦と両親から説教を受けた。


 あおいは、通学途中、バスの中で、自殺の事ばかり考えるようになっていった。どうすれば楽に、痛くない自殺の方法があるか、そんな事ばかりを考えていた。しかし、自殺する勇気もなく、ただ時間ばかりが過ぎて行った。


 10年後、本当に自殺を図ろうとは、その時のあおいも思ってはいなかった。

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