第17話 それでも生きていく

 あおいは、りえの家まで、右足を引きずりながら懸命に歩いた。そして、なんとかりえの家へと着くことができた。チャイムを鳴らすと、「はーい!」と、元気な声で、りえが玄関の扉を開けた。

 「りえ、、、。」あおいは今にも泣きそうな声でそう言った。

 「あおいさん、、、ですか?」とりえは眉をひそめ聞いてきた。あおいはうなずくと、

 「ちょっと歩かない?」とりえに尋ねた。

あおいとりえは、商店街の方へと歩き始めた。途中、2人は何も喋らなかった。喋らなくても、全てが分かっているような、そんな不思議な時間であった。

 商店街に着くと、あおいは、

 「ソフトクリームでも食べようか?」とりえを誘った。りえは、

 「うん!」と、とびっきりの笑顔を見せた。そしてまた、黙ったまま、2人は歩いた。歩いていると、意図せずに、あの遮断機の前に2人は立っていた。

 あおいは、痺れている右手で、りえの痛ましい傷が残る左手を、ギュッと握りしめた。

 そして、2人はゆっくりと、線路を渡った。そして、あおいは、りえに、そして自分に対してこう言った。「どんなに、この世界がクソでも、人生がどんなに辛くて、、、辛くて、、、辛くても、、、それでも私達は生きていくっ!!!」商店街にあおいの声が響き渡り、列車の音が、あおいの声を消し去っていった。


 ギラギラした、真夏の太陽が、二人を照らし、二人の額には汗が滲んだ。

 そしてまた、二人は歩き出すのであった。


                   完

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