第14話 リハビリ

 神様が言った通り、あおいの体は動かなかった。

 しかし、数日後、主治医はリハビリ師を2人連れて来た。主治医はリハビリ師へ「立たせて。」と指示を出した。え〜!私動けないって!絶対立つのは無理だって!と心の中で思いながら、リハビリ師へ体を委ねた。すると、私は、驚く事に、リハビリ師の支えがある状態ではあったが、立つことに成功した。それから過酷なリハビリが始まった。

 まずは、動かない筋肉を、電気を流して強制的に動かすというリハビリと、立位を保持するというリハビリだった。その時点では、まだ歩く事も出来ず、握力も0だった。しかし人間の体とは不思議なものだ。半月ほどで、歩行訓練、手指の動作訓練ができるまでに回復した。それからの、あおいの回復は早かった。右足を引きずりながらではあったが、ゆっくりと、歩くことも出来るようになった。ご飯も常食へ戻り、自分で食べることが、出来るようになった。そして、リハビリ室で、患者さんたちと麻雀を楽しむようにもなっていった。その頃から、あおいは、“生きる事への喜び”を感じるようになっていった。

 入院から1ヶ月半後、あおいは退院することができた。健康体とは言えなかった。右手、右足には痺れが残り、歩くときも、右足を引きずって歩行することしか出来なかった。しかし、動けなかった体が、ここまで回復したのだ。両親はとても喜んでいた。

 あおいは神様の最後の言葉を思い出していた。「そなたの力だけで、生きているのではない。」私は、つくづく、その言葉の意味を実感した。

 しかし、この体では働くことも出来ないだろう。あおいは先の事を考えると不安でしかたなかった。私は、りえのことを思った。りえもきっと神様から与えられた“猶予”をクリアして、今頃、いじめにも負けない、そんな女の子になっているに違いない。私も、負けない!辛くても、辛くても、この世界で生き抜いて見せる!あおいは、そう心に誓ったのだった。

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