第10話 生と死
あおいは、昨日のことがあって、生と死について真剣に考えなければという気持ちになっていた。人は何故生まれ、何故死ぬの?何故生き、何故死ななければならないの?世界は本当にクソなの?本当は私が知らない何かがあるというの?私は、どう生きればいいの?どう死ねばいいの?答えが出ないまま時間だけが過ぎていった。
しかし、神様があおいに与えた“猶予”は、あおいを少なからず変えていた。“生への執着”それは、本来、人間が本能的に持っているものであろう。
あおいは、あのちっちゃな天使が言っていた言葉を思い出した。「お前にはすべきことがある。」すべきこと、すべきこと、すべきこと、、、。りえと心中しようとしたら、イエローカードをもらった。じゃあ、逆の事をすればいいって事?
なんとなくあおいは、この猶予のゴールが見えた気がした。りえを楽にしてやろう。その気持ちに悪意はなかった。しかし、方法が間違っていた。正しいのは、「自殺をとめること。」あおいはそうつぶやいた。
でも、どうやって、自殺しようとしている奴をとめることができるのだろうか?思い浮かんだのは、りえの顔だった。私がりえだったら、絶対に自殺する。そう思って、心中しようとした。りえが今日、自殺しないとは誰も言えない。私は、もう一度、りえに会おうと心に決めた。そして、あおいは再び、母校へと足を運ぶのだった。
りえの教室へ入るが、りえの姿が見えない。机の上には花瓶に花が入れられていた。
いじめていた女子生徒がこう言った。
「あのバカ、来てねーじゃん。万札持って来てなかったら、殺そうと思ってたのによ〜。まあ、あいつなんて、生きてても、死んでるみたいなもんだけどな〜。キャハハ。」
まさかっ!りえの奴、自殺しようとしているんじゃ?でも、どうやって、りえを探せばいい?そうだ。とりあえず誰かに取り憑いて、住所だけでも聞こう。気は乗らなかったが、そのアバズレに取り憑いた。
隣で馬鹿笑いしている奴にこう聞いた。
「ねえ、ねえ。私さー、今日あのバカ殺して来るからさ~、家どこにあるか教えて来んない。キャハハ。」
住所は大体分かった。間に合って!りえ!あんたはまだ死んじゃ駄目だ!自殺未遂して、それでも懲りず、あんたの体を借りて、自殺しようとした私が言える事じゃ無いかもしれない。でも、りえ。あんたは死んじゃ駄目だ!「死ぬな!りえ!」そう叫んで、私はりえの家へと走り出した。
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