第9話 イエローカード

 上空で、戸惑うりえを眺めていると、またあのちっちゃな天使が近づいてきた。「はい〜。アウト〜。イエローカード1枚ね!次やったら、即、無だから。明日で、最後。神様は見とるで〜。あんまりなめとった事しよったら、この俺もマジで切れるで〜。じゃあな~。あー。かったる。」そう言って天使は、去っていった。

 今日は、外で眠りたい気持ちだった。よく子供の頃遊んでいた公園の真ん中で、大の字になって、星空を眺めた。今日は、疲れていたせいか直ぐに眠りに落ちた。

 私は、校舎にいた。教室に行くと、高校時代に好きだった竹中君が立っていた。「来てくれたんだね。俺、前から、お前のことが好きだったんだ。」突然の告白。私は戸惑った。でも私は、これが夢であるという意識はあった。だから、「私も竹中君が好きでした。」と言うことが出来た。すると、竹中君は「キスする?」と聞いてきた。えー。まだ、好きって言いあったばっかじゃん。こいつヤリモク男?そういうことは付き合って、しばらくしてからするもんじゃないの?あおいはそう思いながらも、心臓がバクバしているのを感じた。竹中君が、私の頬にそっと手を添える。ゆっくり、優しく、私の唇にキスをした。夢の中でのファーストキスだった。竹中君は調子に乗って、私の胸に手を伸ばして来た。「それはだめ!」私は、竹中君を押し返した。竹中君は残念そうな顔をして教室を出ていった。私は、彼に罪悪感みたいなものを感じて、後を追った。「竹中君!!待って!!」竹中君は歩いている。私は、走って追いかけた。でも竹中君との距離は縮まらない。どんどん離れていって、竹中君は見えなくなってしまった。

 「竹中君!」私は、目を覚ました。公園の時計は朝の6時30分を指していた。神様が与えた猶予、最後の日、3日目が始まろうとしていた。

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