第8話 2度目の自殺
女の娘の名前はりえ。机の上には死ねと書かれ、教科書はカッターで刻まれていた。私はいじめにはあったことがない。(いや、それは自分が気づいていないだけか?)だからりえの気持ちを理解できると言えば嘘になる。でも、私だったら、こんないじめにあったら、いじめた奴らを殺して、自殺していた事だろう。学校が終わり、りえとどうやって心中しようかと考えながら商店街を歩いていた。もう、焼酎自殺はうんざりだ。結局、未遂で終わってしまった。手首を切る?うーん、それも未遂で終わりそう。飛び降り?私は、怖いところが苦手、、、。確実に死ねる方法?、、、。電車か!!痛いのだって一瞬だろうし、まあ、即死だろうね。りえと話せたら良かったのにと、あおいは思った。
遮断機の前まで来た。いよいよか。流石に緊張する。電車の音が近づいてくる。遮断機の音も鳴り始め、バーが降りてくる。今だ!
あおいは、かがんで、線路の前に立った。そして列車に向かって両手を広げた。電車の汽笛音が鳴り響く。その時だった、ハゲで、デブで中年のサラリーマン風の男が、線路の中へと入ってきた。そして、私の腰に手を回すと、軽々と持ち上げ、向かい側へとあおいを引きずり出した。そして、私の頬を思いっきり平手打ちした。「バカヤロー!!命を何だと思ってるんだ!!!俺は少なくとも、お前の味方だ!!!。」そう言って、中年男は去っていった。
あーあ。また未遂に終わってしまった。りえ、死ねずに、ゴメン。でも、なんでかな。涙が止まらない。え?私、生きていることを喜んでいるの?しばらくは、足が、ガクガクして立つことが出来なかった。
しばらくして、ようやく歩けるようになった。どれだけの時間歩いただろう。夕日が沈みかけていた。気がつくと、海辺まで歩いて来ていた。夕日が沈み、空の色が、青紫色になっていて、一番星が見えた。海辺に座り、海の音を聞いていたら、また泣けてきた。そして、あおいは海に向かって叫んだ。「神様!!これが私への試練なの!!辛くても、辛くても、生きて行けって言いたいの!!」涙が砂浜に落ちては、波に消されて行った。涙が枯れる位泣いて、私は、りえに体を戻すことにした。そして、砂浜にこう書いた。“ごめん 神様はいる あおい”と。
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