第3話 幽体離脱

 病院を見下ろしている。私は、「これって、幽体離脱!」と、思わず叫んでしまった。

 どうしようかと悩んでいると、何やら変な物体がこっちへ近づいてくる。「やあ、お嬢ちゃん。あんた、死にかかってるよ。」と卵位のちっちゃな天使がそう言った。「え!私、死にかかってるの?じゃあ、早く死なせてよ。」と声を荒げた。

 天使は言った。「お前が生きるのか、死ぬのかは、お前が決めることではない。神のみぞ知る領域だ。それを犯そうとした貴様は重罪に値する。死ぬときは、天国も、地獄も、お前の存在できる場所はないと思え!そこにあるのは、無だけだ。そこでだ。お前に神は猶予を与えてくださった。3日だ。この3日、お前は、人の目に留まることなく彷徨うことができる。そして、生きている人間に入り込み、その精神と肉体を奪う力もある。どう使うかはお前が決めろ。3日の間よーく考えるんだな。じゃあ、俺は帰るぞ。あ〜、かったり〜。」そう言い残してちっちゃな天使は去っていった。

 「はてさて、面倒な事になったな~。かったるいのはこっちのセリフだっての。」あおいは、タバコを吸おうとポケットに手を突っ込むが、入っていない。「ちぇっ。とりあえず、同じタバコ吸ってる奴に乗り移ってみるか。」そう独り言を言って、下界へと降りて行くのだった。

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