第4話 勉強会と恋バナと懲りないバカ達
時間が流れるのは早いもので期末テストがもう4日後にまで迫っていた。
生徒の大半が理数系教科の殺人的な範囲の広さに呻く中、例に漏れず必死で範囲を処理している最中の僕らは放課後にいつメンで勉強会をしようということになった。
いつメンとはいつものメンバーの略で仲良しグループのようなものを指す言葉だ。
僕らの場合、僕に
当然その他にも仲のいい奴もいるものの、いつも一緒にいるグループとして考えるとこの4人な気がする。
皆クラス一緒だしね。
哀れ菅原はテスト4日前にも関わらずハンド部のトレーニングに連行されたので、今回の勉強会は菅原を除いた3人で行うことになった。
「やっぱコメダにしない?スタバ絶対混んでるやん。」
「こないだ行ったじゃんコメダ。さっき多数決でスタバになったし流石に飽きたって。てか新作飲みたいし。」
「今新作って何やってるの?」
「多分ストロベリー。前行った時はバナナだったけど変わったはず。」
勉強会となれば長時間居座ることになるので自然と長時間滞在が許される店を選ぶことになる。
そうなるといの1番に候補に上がるのはやはりスターバックスだろう。
ただここは名古屋、モーニング文化で有名なコメダの本拠地でもあるので、必然コメダ派も湧いてくる。
強硬にコメダを推す西原を僕とくっしーのスタバ票で降し、今回はスタバに行くことになった。
コメダ嫌じゃないんだけどさ、西原に付き合って最近行きすぎて流石に飽きてきたたんだよな。
週4コメダは多いって。
そんなことを話しながら学校から15分弱、目的地に着いた。
「ん、そんな混んでないじゃん。」
「カウンター行こカウンター。」
「じゃ僕先並んどくわ。」
「よろー。」
幸い比較的早めの時間帯だったからか店内は空いていた。
スマホの充電のためにコンセントのあるカウンター席を確保しレジに向かう。
各々注文を終え、商品を受け取り席についた。
よし、いよいよ勉強会開始だ。
「数2bチャート範囲イカれてるって。エクサ絶対終わらん。」
「それな。中間の時も多かったのにもっと増えてるってどゆこと?」
「僕一応一周は終わってんだよな。」
「「えきも。」」
「いきなりえっぐい罵倒くらったんだけど。」
時々喋りながら数学の問題を捌いていく。
今日終われたらなんて思っていたけど、この問題数を見るに半分終わったら御の字かもしれない。
前の中間の時ですらだいぶ頑張って終わらせたのに今回はそれの約1.5倍。
控えめに言って狂気の沙汰だ。
くっしーこれ1周は終わったってま?
意味が分からない。
「あーもう無理もう無理。一旦休憩しようぜ。」
西原がもう音を上げた。
まだ始めてから40分ぐらいだぞ。
でも確かにちょっと疲れてはきてたしちょっとなら休んでもいいか。
冷静に思い返せば、こう思ってしまったのがダメだった。
矛盾しているようだけど、そもそも勉強会なんて基本勉強が進まないものだ。
それでもなんとか集中していたところを、中断してお喋りに興じ出したらどうなるのか。
決まっている。
ほとんど進まなかった問題集と、懲りない自分への後悔を引っ提げて帰るいつもの負けパターンである。
何はともあれ西原の誘惑に負けぺちゃくちゃとお喋りを始めてしまった僕たちは、当初の目的である勉強などすっかり忘れていた。
「えね、恋バナしよーよ恋バナ。」
「嘘だろお前男子校生だけで恋バナとか。」
「でも安藤とか彼女いるやん。」
「え嘘やんまじ?全然知らんかったんけど。あいつ彼女いんの?」
「安藤って誰?」
「くっしー知らないか。今は隣のクラスにいるんけど去年僕と西原と同クラだったんよ。」
「知らないわ。すごいな彼女いるの。」
「それな?遠距離らしいけど。」
「がちで?それどうやって知り合ったんだよ。もともと付き合ってて引越しとか?」
「ちゃうちゃう。最初はネットだってさ。」
「「えぇ。」」
「でそろそろ会おってなって会ってみたら昔近所でよく遊んでた女子だったらしい。」
「いや漫画かよ。」
「えぐ。」
そんなんもうフィクションじゃん。
すげぇなあいつどんな世界線で生きてんだ。
そのまま安藤の話で盛り上がっているとくっしーが何気なくスマホを見て固まった。
固まったまま無言でぎこちなくスマホの画面を見せてくる。
それを見た僕も固まった。
それを怪訝に思った西原が能天気に聞いてくる。
「どうした?2人とも黙り込んで。」
「「8時。」」
「ん?」
「だからもう8時。」
、、、
「は?え、嘘?」
「「がち。」」
、、、
「「「終わったぁあああああああ!」」」
まじでどうすんだよ。
5問ぐらいしか進んでないって。
男子校生の青春チャレンジ ke-0i @ke-0i
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