第3話 体育後の上裸はデフォ
僕はこの1時間だけ佐藤くんだ。
体操服がないことに気づいた僕は必死で他クラスを駆けずり回り体育前に頻発する体操服争奪戦に見事勝利した。
やっぱ持つべきものは友人だな。
あ、西原も酒井になってる。
櫛崎は櫛崎のままだった。
「佐藤くんよろー。」
「黙れよ酒井。」
「いちいち持って帰んないで俺みたいに置いてけばいいのに。」
「「嘘だろお前、、」」
今体操服を持って帰ってないとかいう衝撃発言をかましたやつは
ハンド部に入っていて身長はなんと183センチ。
自称170センチの僕の敵である。
ちなみに西原のやつも178ぐらいあったはず。
死ねばいいのに。
でも持って帰ってないってガチかよお前。
流石の男子校でもこれはマイノリティだ。
え、皆そうだよね?
「にしても暑すぎだろ体育館だぞここ。」
「風ないせいで逆に蒸し暑い説あるけどね。」
「甘いな文化部ども。ハンド部の俺にとっちゃこれぐらい余裕だね。」
「「テニス部だし。」」
2人とも幽霊部員だけどね。
にしてもがちで死ぬほど暑い。
この暑さでバスケとかバドとかやれる気しないぞ。
「今日アリーナ使うのうちのクラスだけだから全面使えるぞー!今日はバスケ、バド、バレーとかの中でやりたいこと自由にやってくれればいいから各自ネット貼ったりして準備しろー!」
体育教師の到着だ。
今年の体育教師は若いし話短いし当たりだ。
去年は酷かった。
熱中症の注意喚起とか炎天下で15分以上聞かされてたし。
あの注意喚起が一番熱中症危ねぇよ。
「何やる?」
「バドでいいだろ。」
「俺もバドでいい。」
「あ、じゃ僕も入れてよ。」
結局僕、西原、櫛崎、菅原の4人でバドをやることになった。
「シングルスで負け交代やる?」
「いいんじゃねそれで。」
「疲れたらダブルスやるか。」
「そやね。」
流石にテニス経験者な分ラケット球技にはアドバンテージがあるので、僕と西原がこの中だったら上手い方だ。
「ほい。」
「あっ、ざけんなドロップ死ねよ。」
あい、ドロップ気持ちー!
「よっしゃあ!」
「おいおいおいおいおい!?今の球出しは舐めてるって。流石にわんもあ。」
クソサーブ打ってきたのに結局やり直してくれなかった。
覚えてろよ西原。
お前の汗拭きシート勝手に全部クラスのやつに配ってやる。
そんなこんなでわちゃわちゃやっているうちにチャイムが鳴って1限が終わった。
「次の時間なんだっけ?」
「確かコミュ。」
「あーおっけ。」
コミュとは英語コミュニケーションという授業のことである。
担任の多摩ちゃんの授業だ。
名前にコミュニケーションなんてついてるくせにスピーキング要素は皆無でただひたすら長文解釈をやってる。
絶対名前変えた方がいい。
ってアリーナから戻ってきたのはいいけどなんか教室前人たまってね。
「みんなたまってどしたん?」
「鍵閉まってて入れんからクソ暑いのに廊下で待たされてる。」
「おい当番ゴミじゃん誰だよ。」
うちの学校は移動教室の時の教室の施錠開錠は当番の仕事なのだ。
このクソ暑い時期に開錠が遅いのは戦犯すぎる。
ん?
、、、
なんか西原がゴソゴソやってるな。
「西原どうした?あっおい待て逃げんな!」
当番は西原だった。
当番なこと忘れて僕らと一緒に悠々と帰ってきた上に鍵をアリーナに置いてきたらしい。
ゴミカスすぎる。
「「「「「Boooo!Booooo!」」」」」
これには心優しいクラスのみんなも大ブーイング。
当然僕も親指下向けて全力で煽る。
やっと無能が戻ってきて教室に雪崩れ込む。
「「「「っーーーーーーー!!!!」」」」
あぁ神様エアコン文明の利器。
体育が終わって汗まみれな体に効く23℃のエアコンほど気持ちのいいものはないだろう。
そのまま体操服を脱ぎ捨て、汗拭きシートで体を拭いてエアコンの風に当たる。
もう最高まじ最高。
語彙力なんて捨てちまえ。
そのままチャイムが鳴って2限が始まって教師が入ってきた。
がクラスの1/3ぐらいは上裸のまま授業を受けている。
これは男子校あるあるじゃないだろうか。
上裸の快適さに気づくともう抜けられない。
僕?
もちろん上裸に決まってる。
「おーいそろそろ風邪引くから服着ろよ。」
30分経って始めて上裸に対して言及した多摩ちゃんのコメントがこれである。
男子校万歳!
彼女問題抜けばまじで理想的なんだよなぁ。
余談だけど西原の汗拭きシートはちゃんとみんなに配ってやった。
当番のやらかしもあるしね。
僕は悪くない。
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