第2話 登校と朝礼

「はぁ、はぁ、はぁ。」


 誰だよ絶対遅刻しないとかフラグ立てたやつ。

 ガチで寝過ごした上に時間めっちゃギリッギリじゃねぇか。


「はぁ、はぁ、、運動不足にこれはきついって。」


 いやまじで。

 学校の最寄りから学校まで大体徒歩10分ぐらいかかるのに駅着いた時始業時間まで6分しかなかったからな。

 間に合ったのほんとに頑張ったと思う。

 もう半分帰宅部なのに。

 一応中学の頃から硬式テニス部入ってるんだけど塾行き始めてから忙しくて行かなくなっちゃったんだよね。


「お、倉橋じゃん!いつも早いのにどーした。」

「よっすはる。電車寝過ごしたんよ。まじで疲れた死にそ。」


 今声かけてきたこいつは西原晴多さいはらはるた

 同クラの友達でテニス部でもある。


「運動不足すぎんだろ。そういや数学のレポ出した?あれ期限もうすぐっしょ。」

「昨日やった。そっちは?」

「まだ。今日やる。」


 うちの学校は基本的に課題が出されることはないんだけど今回の数学レポートみたいにレポートの提出を求められることがある。

 めんどいけど頻度は低いからまぁ耐えだ。


 そんなことを喋ってる間に教室に着いた。

 高一の教室は1階だから近いのだ。

 中学だと1年が4階で2年が2階と3階、3年が1階だったのに高校ではなぜか逆になっている。

 逆年功序列ばんざい!

 自分たちが高3になったら絶対文句言うけどね。


「今日隣にいた女子高生めっっっちゃ可愛かったんだって!空気吸い込んどいたもん。ガチで可愛かった。」


 教室に入った瞬間、不審者感満載の叫びに出迎えられる。

 残念ながらこれはデフォだ。

 女子がいない学校とはこういうものである。


「倉橋ー!遅いじゃん今日。寝坊?」

「こいつ電車で寝過ごしたんだって。まじでアホ。」

「逆に西原間に合ってんの珍しいやん。」

「うっさいわ。最近ゆうて間に合ってるし。」


 でも昨日遅刻してたよなお前。

 ひたすら騒がしいのも男子校の特徴かもしれない。

 中高一貫だからもう4年目で大体みんな仲良いのに加えてとりあえずみんな声がでかい。

 うるさすぎて休み時間中とかホワイトノイズっぽくなってる時あるし。


 そのままみんなと喋っていると担任の多摩たまちゃんが入ってきた。

 よく多摩ちゃんと呼ばれているが男である。

 てかなんならここの卒業生だこの人。


「朝礼やるぞー。出席取るから一応席付けー。」


 多摩ちゃんは英語教師でもある。

 結構人気だし僕も好きな教師だ。

 雑談も授業も面白い上に適度に緩いってなったら嫌いな人の方が少ないだろ。


 言われて席に着くと前の席の西原はもうスマホでゲームを始めていた。

 本人は違うって訴えてるけど間違いなくゲーム中毒だ。

 ゲーム中に声をかけると怒るから、隣のやつに話しかける。


「やほ。数レポやった?」

「僕は結構前に終わってるよ。倉橋は?」

「僕も昨日終わった。てか期末もう2週間後なの頭悪いだろ。」

「それな。」


 今喋ってるのは櫛崎陸都くしざきりくと

 勉強も芸術系もできる上に家庭的と万能なやつだ。

 唯一苦手なのは体育ぐらいだろ。

 でも彼女はいない。

 こいつにできないならもうしょうがないだろ。


 彼女諦めない宣言なぁ。

 したのはいいけど具体的な方法はなんも浮かんできてない。

 塾一緒の奴らに紹介してもらうのが一番早そうだと思ったんだけどみんな女子の知り合いいなかったんだよ。

 そんなのってないよ、絶望じゃん。


「当番時間割変更確認しとけよ。よし朝礼終わりだ。当番。」

「きりーつ、礼!」


 くっしーと喋ってたらいつのまにか朝礼が終わっていた。

 くっしーは櫛崎のことだ。

 大体みんなくっしーって呼んでると思う。


 でもとりあえず彼女作りに関しては女子の知り合い増やさないとなぁ。

 今女子の知り合いって英会話一緒のやつと友達の妹ぐらいしかいない。

 前途多難すぎる。


 まぁ一旦彼女のことは忘れて今も頑張るか!


 、、、

 おい一限体育かよ体操服忘れたって。

 誰かに借りよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る