第1話 朝やることは案外多い

 彼女と仲睦まじく遊園地デートしてたと思ったら、いきなりでかい音が鳴って目覚ましの馬鹿野郎に現実に引き戻された。

 彼女は儚い幻想でした。


 悲しくなるから別の話をしよう。


 僕の朝は早い。


 基本的にサボりがちな性格な僕だけど、小学生の時につけられた早起きの習慣だけはなんだかんだ抜けなくて今も枕元の時計は5:00を指している。

 別に眠くないわけじゃないんだけどね。

 もう10年弱続けてるだけあって逆に二度寝する方が気持ち悪く感じちゃうのだ。


 てなわけで今日も眠い目を擦りながら寝室を出て1階に向かう。

 ちなみにうちは2階建ての一軒家で僕の寝室は階段を登ってすぐのところにある。


 いい機会だし僕の家族構成とかを紹介しておこう。

 この家に住んでるのは僕と両親の3人だ。

で寝室は3人とも2階にある。

 他には父の自室や書斎が2階にあって僕や母の自室は1階、ピアノ部屋や風呂場、キッチン、ダイニングなんかも1階だ。

 トイレ?

 トイレは1階と2階に2個ずつ。

 おいそこ誰も興味ないとか言うなよ。

 逆に興味あったら怖いからいいんだけどさ。


 話を戻そう。

 父母は3歳差で父の方が上。

 確か父が47で母が44だったかな?

 親の年齢って微妙に覚えられないんだよな。

 みんなそうだと思ってるんだけどそんなことない?

 父はそこそこの規模の会社を経営していて趣味はビリヤードとゲーム。

 母はフリーランスでデザイナーをやっている。

 あの人の趣味ってなんなんだろ。

 よく考えたらあの人が趣味らしい趣味やってるとこ見たことないな。

 暇さえあれば何か描いてるか作ってるかだし創作が趣味っちゃ趣味なのか。


 そんなことを考えているうちに顔を洗い終えた。

 次の僕の目的地はピアノ部屋だ。

 これまた小学生の時からの習慣で、僕は起きて朝一番にピアノの練習をすることにしている。

 流石に高校に入ってからは忙しくてコンクールや発表会には出てないし目標といった目標はないけど、ただ弾いてるだけでも意外とストレス解消になるからピアノを弾くのは好きだ。


 さぁピアノを弾き終わったらとうとう次はお着替えの時間です。

 って言っても平日だし制服着るだけなんだけど。

 つくづく思うけどうちの制服はもうちょいかっこよくなっていいと思う。

 これでも中学の制服よりはマシになってるのが救えない。

 中学の制服なんて作業服だぞまじであれ。

 地元リスペクトでトヨタの作業服でも真似してんのかってぐらい似てる。

 うちの学校があるの豊田市じゃなくて名古屋市だけどね。


 着替え終わった後は朝食を摂ってちょっと勉強でもしてればなんだかんだいい時間になってくる。

 7:00過ぎたしちょっと早いけど家出るか。


 ハンカチよし!忘れ物なし!


「行ってきまーす!」

「いってらっしゃい。」


 さっき起きてきた母が見送りしてくれた。


 登校手段は地下鉄と徒歩。

 家から最寄りまでは約5分。

 一緒に行ってくれる幼馴染はもちろんいない。

 現実って厳しいね。


 改札を抜けて電車に乗り込んだ。

 今日は幸運にも席が空いてたのでそそくさと腰を下ろす。

 これ数十分遅れるだけでほんと座れないんだよな。


 漫画か小説ならここで隣に可愛い女の子がいたりするんだろうけど僕の場合横にいるのは頭の眩しいおじさんだ。

 やることもないし見るものもないしで睡魔が襲ってきた。

 寝過ごしても遅刻はなさそうだし負けちゃおうか。

 学校始まるの8:20だし流石に遅れないだろ。


 てか普通に眠いわ。

 ぐんないばいばいまたあとで、、、

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