27 皇帝と皇后の睦言
貴宮の
「……
灼熱の房室に訪れたものがあった。
豪奢な
「ああ、まことに燃えているのか……なんということだ」
「……触れるのはおやめ」
皇后が歌をやめて、視線をあげた。
「皇帝が指に傷をつけては、だめよ。あなたがやけどをしても、この毒は、どうにもならないのだから」
皇帝と接するにふさわしい言葉遣いではなかった。だが、それゆえか、言葉の響きは柔らかかった。
「すまぬ、欣華……そなたを護ることができず」
皇后は皇帝をみて、愛おしむように瞳を細めた。
「だいじょうぶよ、すぐに解毒できるわ。あの
細い声で歌の続きを紡ぐように皇后はいった。
「彼女は竹の実のようなものよ。でもまだ熟すには毒が足らない。あなたが彼女に渡してあげている毒だけでは、ね」
透きとおるような瞳に老いた皇帝の姿が映る。皇帝は震える声でいった。ともすれば、
「そなたの
「ええ、側にいるわ。
後宮の頂に咲き誇る華は、微笑をこぼす。燃えさかる毒に侵されているとは想えないほど穏やかに。等しく慈愛を施すように。
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