第15話「クラリスが邪魔をしてきた!」

 音のした方へ向かう途中。


 細い道へ入ったんだけど、なんかデカい豚が邪魔で通れない。



「な、なんでこんなところに!? 分身体とはいえオークキング! 危険です! マチョスくん、セリーヌさん、引き返しましょう!」



 まったく、先が気になってるっていうのに邪魔だ。


 隙間もないし通れないなこれ。



 イライラしてきた。



「邪魔だなコノヤロー!」



 僕は豚を蹴った。


 豚が爆散してあたりに臭い霧が充満した。


 こいつ、クソすぎる!



「よし、これで通れるな! 見た? 今の、明らかに身体強化の魔法だったよね?」


『むしろお前は常時身体超強化の呪いがかかっているようなもんだろ。もちろん魔法じゃねえぞ』


「分身体がここにいるということは、この先にオークキングの本体がいる可能性が高いです! 撤退しましょう!」


「え? ウォーキングで行こう? 悪いけどゆっくり進むのはダンジョンだと逆に危険なんだよ。お腹が減る前にダンジョン攻略しないといけないんだ。これくらい常識だよ?」


「ああもう! どうなっても知りません! だけどマチョスくんならなんとかしてくれると思っている自分がいるのが悔しい!」



 言わんこっちゃない。メアリーはなんだか苛立たしそうな顔をしてる。空腹感がやってきたってとこかな。


 ノロノロしてるからお腹が減ってきちゃうんだ。


 さっさと進もう。



「メアリーさん。オークキングって危険なんですか?」


「S級の魔物です。討伐にはS級冒険者パーティが複数必要とされているくらいの危険な魔物なんです!」






 ん?



 あれは!




「クラリス! なんで君がここに!」



 クラリスが魔法を発動しようとしてる!


 アイリアがデカ豚と戦ってて、ライラはそれをサポートしてるのか。



 こいつら、僕の攻略を邪魔しに来たんだな!



「それは僕の獲物だ! 横取りは許さないぞ!」


「え? アナタ、誰ですか? それよりここは危険――」


「くらえ、身体強化によるタックル!」


『お前やっぱ俺の声聞こえてるよな。わざと無視してるよな。わざとらしく魔法って宣言したよな今』


「あ、あの巨大化した姿! もしかしなくてもマチョスじゃない!」




 豚は吹き飛んだが、爆散しない。


 くそ。クラリスがいたことで動揺し、身体強化が甘かったか。



「って、うわああああああああ」



 なんか豚が10匹くらいに増えた。



 しかも更に巨大化してる!



 これはやばいかも!


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