第3話 強敵との出会い
歩き出したスコは周囲を見回し今いる場所が比較的整備された道だという事を知った。よく見れば道のように遥か向こうまで続いている。問題はどっちの方角に人里があるか、という所なのだがそれをスコは新しく手に入れた力で道を決める事にした。
「んーーよいしょっと!!」
パキっと乾いた音を立てて折れた木の枝。そうその辺に生えている背の低い木を見つけて驚異的な跳躍力(30㎝)で飛び上がり木の枝を掴んだ。そのまま自分の体重を利用して枝を折りこうしてスコは自分の相棒を手に入れたのである。
「ふふふ。いいぞ、自分の力で手に入れたんだ。そうだ名前をつけよう!」
初めて入手した木の枝にご満悦のスコはさっそく自身の相棒とも呼べる枝に名前を付けようと考えた。その枝の手触り、太さ、感触、どれをとってもまさに理想的な枝である。それを竹刀のように持って試しに振ってみれば、まるで自分が剣士になったような気持ちにさえなった。
「……よし。お前の名前は今日からマゴノテだ!」
この名前に意味はない。ただ苗字がカタタキだからその繋がりで思いついただけである。
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名前:スコ・カタタキ
称号:超ポジティブメン
種族:人間
レベル:2
筋力:10
速さ:10
持久力:10
精神力:50
スキル:ダダッコ
装備:木剣マゴノテ
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そうして手に入れた相棒を地面に突き立てそっと手を放す。突き立てられた棒はそのまま重力にしたがって倒れた。
「ちょっと道からそれてるけど、とりあえずあっちに行ってみるか」
結局どっちに行けばいいのか分からないためスコは運否天賦に身を委ねる事にした。楽観的に考えての行動だが実際は食料もない未開の土地。まだ日が高いうちにせめて人がいる場所に。それが無理でも何か食料を見つけたいと考えている。
落ちたマゴノテを拾ってスコは歩き始めた。街道のような場所は所々に2本の線が引いてあるような跡が残っている。よく見れば蹄のような跡も残っているためスコは少ししゃがんでその後を見て見た。どうやら馬車のような物が通った跡のようだ。これで少なくともこの街道は人が通った道だというのが分かり少しだけスコは安心した。
時折手に持ったマゴノテを無意味に振り回すその様は人が見れば変質者以外の何物でもないだろう。そうして街道を沿って歩いていると、森の方から何か物音が聞こえた。陽気に鼻歌までしていたスコだったがその音を聞きすぐに警戒する。両手にマゴノテを握り物音がする方を見ていると――突然2体の怪物が現れた。
「な、なんだあれ……」
「ギ、ギギ」
スコよりもはるかに小さい緑色の化け物。身長は約120㎝程度だろうか。裸の小鬼のような恰好をしておりこちらを見て威嚇している様子であった。その姿を目の当たりにしてスコの脳裏に何かが過った。
「そ、そういえば。こいつ見た事があるぞ……」
そう。スコが最初に目を覚ました時にもこの顔を見た事がある事を思い出した。ただあの時は咄嗟に暴れた結果。いつの間にかいなくなっていたはずである。
「なら、あの時の奴か――? くそ、どうする」
じりじりと少しずつ小鬼は距離を詰めてくる。一歩踏み出すごとにスコは一歩後ろに下がっていた。ただ睨み合いをしているだけなのに心臓は強く鼓動し、汗が額に流れてくる。流れた汗が額から眉間に、そして目へ流れそうになった時スコは思わず武器を放し手で拭ってしまった。
「ギギッ!」
そんな隙を見逃す程相手の小鬼も甘くなかった。凄まじい速度で接近し小鬼の握った拳がスコの腕に目掛け迫ってくる。思わず目を瞑ってしまったスコの身体に衝撃が走った――そう腕を殴られたのだ。
「痛っ!」
小鬼の攻撃は終わらない、止めとばかりに反対側の腕も殴られた。それからはリンチも同然だ。小鬼たちは不気味な笑い声をあげながらひたすらスコの両腕を殴っている。時折スコの腹にも直撃するという凶悪なコンボにスコは思わず悲鳴を――上げなかった。
「なんか……あんまり痛くない?」
凶悪な見た目に気おされたがよく見ると小鬼の攻撃はまったく痛くなかった。腕を殴るといっても一発一発すごく遅い。思わず痛いと叫んだ自分が恥ずかしくなってきていた。
「と、とりあえず反撃していいんだよね?」
痛くないといっても流石に同じ場所を何度も殴られれば多少痛みも出てくる。スコは反撃に出た。相棒のマゴノテを振りかぶりそのまま小鬼の頭を強打した。
「ギィッ!!」
悲鳴を上げた小鬼が煙を上げて倒れた。同じ要領でもう一体の小鬼の頭をマゴノテで小突く。すると同じように悲鳴を上げて小鬼は消滅した。
【レベルアップしました】
「……や、やったー?」
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名前:スコ・カタタキ
称号:超ポジティブメン
種族:人間
レベル:3
筋力:11
速さ:10
持久力:11
精神力:50
スキル:ダダッコ
装備:木剣マゴノテ
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