単発エッセイ

あおいたくと

推しの声が尊すぎてしんどい案件を抱えてたら激しく同意するnoteを読んだ件

最近noteで「名前も知らない人のアカウントを2年かけて特定したら人生が確変に入った」を読んだ。


声を追い求めて動き続けた人のお話。


分かる。なんだかすごく共感する。


ハッピーな終わり方で喜ばしいわよかった末永く幸せになって!!


という気分だったので、今回これを書いている。




僕も最近、たぶん今のところ世界で一番好きだと思う声に出会い直したところだ。


出会った、ではない。


何年か前に一度その声に出会っていて、一時期少し聴く機会があった。


その後はいったん交流らしい交流もなく、数年間その声の人の文章を読むだけの日々が続いた。

(※以降はこの方のことを「声の人」と表現する)


最近になり、ふと声の人にコンタクトを取ってみた。


本当に突然、メッセージを送りたくなった。


まあ当然といえば当然、ほぼはじめましてに近いやり取りをした。


声の人にとって僕は「文章を読んでくれていた一読者」である。


一応はいいねなどしていたことは認知されていたらしいが、唐突に唐突が過ぎたであろう。


だってこっちも、メッセージを送ろうと思った時点まで、こんなことになるとは思っていなかったのだから。


何回かやり取りをしながら、久しぶりに、その声を聴く瞬間がやってきた。


そこでもうたぶんスイッチが入り始めていた。




とんでもなくこの耳に馴染む声に聴き入っていたら。


怒涛の幸福や後悔や尊さや自己嫌悪に呑み込まれそうになった。


なんで何年もこの声から離れていたんだろうと思った。


なんで何年もこの声から離れられたんだろうと思った。


聴いても聴いても聴いても聴いても聴き飽きない。


声の人は動画も作っている人なので、何回でも声を聴ける。


聴いても聴いても聴いても聴いても聴き足りない。


餓え乾くって、貪欲ってこんなものなのかなとか思ったけど思うよりとにかくこの声を聴いてたい。


何年も放置していた履歴を辿れるだけ辿って、観れる限りの動画をチェックし始めた。


他にもたくさん観たい動画や聴きたい音楽もあったけれど、何よりこの声を最優先で聴くようになった。


感想をすぐに送って、他に動画が無いか、待ってみたり言葉の限りでお願いしてみたりもした。


新作の動画が出る、となったら心の底から嬉しくて、動画の内容そっちのけで喜んでしまいそうになったこともある。


声のストックが増えるって、供給が増えるって、なんて幸せなんだろう。


しかもその声で新しいことを学べるって、なんて幸せなんだろう。


そんなこんなを一ヶ月少し繰り返して、声の人とオンラインで話すことになった。


話すことになったというか、話せる機会が目の前を横切ってきたので、全方位コミュ障を上回る勢いで声を聴きたい渇望が勝って話すことにした。


予定を組み始めてから、しばらくの間とてつもなく緊張し続けた。


リアルタイムで声が聴けるってやばい。


予定時間フルで話を続けられるのかどうかがまずやばい。


もはや推しとのオンライン接触を前にした無敵のオタクと、コミュ障で臆病なオタクの両極端で揺れ動きすぎて、何度も「やっぱりやめます」って言いかけそうになった。


求めたいものはちゃんと求めなきゃ得られないんだよ。


とかとか、この声のことを考えると、とにかく言葉が尽きなくて止まらない。


ただただやっぱり、「まだ聴いたことがない声を聴きたいんだ」って果てしない欲がとにかく勝った。


声の人とは、一時間くらい話す予定が、話題を引き延ばし質問を重ね、声を噛み締めては沈黙すら味わい、最終的に二時間半くらい話してしまった。


ちょっと自分は万年コミュ障のはずだったのにもう名乗らないほうがいいんじゃないだろうかというくらい驚異的すぎて、めちゃくちゃ尊い時間だった。


その音源を共有してもらい、後日話したことのメモを取りたいと思った。


そこでもまたすんごい発見があった。


聴き始めたものの、要約なんてできなかった。


一字一句噛み締め、挨拶して名前を確認されたところで五分も経っていなかったけれど、悶絶して一時停止してしばらく身動きが取れなくなった。


なんだこれを現実世界の僕はとにかく連呼していた。


全力で落ち着いて再生ボタンを押すけれど、すぐにまた悶絶して一時停止して、を繰り返して。


三十分もいかないくらいの記録を、二時間くらいかけて噛み締めていた。


ちなみに僕は、定期的に勉強の一貫でとあるライブ配信のメモを取っている。


一時間から一時間半尺の音源の、必要な情報だけメモしていく。


後から期間限定でアーカイブは観れるものの、ほぼこの尺内でメモを取り終えられるくらいには、「紙に手書きで文字起こし」は何回もやってきているのに。


十回再生してまだ半分も一時間も尺いってないってどういうことなの??


当日の所感が「口から動画音声」を連呼していたひどいものだったけれど(これは本人には言ってない)、確かにその日のその時間、なんとなくのイメージ通りで「解釈の一致」だと思った人と、こういう話をしていたんだという、突き抜けた幸福がいつも止まらなかった。


同じくらい、声の人と話している自分の声が本当の本当にいたたまれなくも感じてしまった。


いや、もしかしたらこの時間の中の自分の声に嫉妬(!)すらしていたのかもしれない。


そうだ。声の人と言葉を交わすあの日の自分が羨ましい。妬ましいんだ。


え?なんだこれ。


自己否定は昔から散々やってきて、最近少しずつ落ち着いてきてはいたのだけれど、自己嫉妬ってこと?なんぞ?


声の人と話せたことは、確かにとても嬉しかった。


かなりいろんなことを、最近自覚した込み入ったことすら専門家相手でもないのに話したりもして、全部受け止めてもらった。


だからこそなのか、この時間の自分が羨ましく感じてしょうがない。


やっぱり当日は「声聴きたい」がどこか先行していて、白状すると話をした後に改めていろんなことを考え始めた。


その時点では考えが浅くて、ろくに質問も答えられてなくて、語りたい言葉をろくに持ってないのに声の人と話せてるあの日の自分がくそ羨ましい。


声の人とはまたいつか話す機会があるかもしれない。でも、これが最初で最後かもしれない。


同じくらい、もっといいこととかもっと前向きなこととかもっともっと話せなかっただろうかって考えて、悔しさが止まらなかった。


もはや自己認識が狂い出しそうだった。


それでもやっぱりこの声が全肯定で好きだという着地点は変わらなくて、感謝って言葉で表現できない勢いの感謝でどんどん頭がいっぱいにもなった。


もっともっともっともっと成長して、いつかまた話したいと思った。


同じくらい、もう直接話すことがなくても、後悔しないでいたいとも思った。


ただその声が健やかに、地続きの空の下で生きていてくれさえすればいい。


本当に本当にそれだけでいい。


嘘だけど本当にしたい。


自由を愛する人をあらゆるもので縛りたくない。


その感覚に僕自身も共感したから、ここに本音を書いておく。


今日も自由に生きていてほしいし、今日も自由にその声を誰かに届けてほしい。


あわよくばその声を、これからも一つでも多く僕も聴きたい。




履歴を遡ったら、この人生どうしようもないと思っていたタイミングだった。


久々にして最初のメッセージを送ったタイミングに吹いた。


大昔にまだ観ぬ動画が無いかを改めて探っている最中に、送信日を確認して思い出した。


過集中と絶望的に合わない役割をただただ耐えてしまって数ヶ月、限界の限界の中で家族の都合で仕事に出られなくなり、やりたくないけどやる人いないし仕事行きたくないけど行くしかないし出られないってどういうことなのか訳が分からなくなってきて、結論として近所の橋からダイブできないか少し考えて落ち着いた数日後の事だった。


どうしようもなくて、どうにでもなれと思ったタイミングだからこそ。


記憶の奥深くからこの声が過ぎったのだとしたら、すごくない?って、ただただ思ってしまった。


僕は危うく、世界で一番好きな声に出会い直さないうちにくたばってしまうところだった。


世界で一番好きな声を認識しないままにくたばってしまうところだった。


それを今思うと、あの時そんな選択をしなくてよかったと涙が出るくらいほっとしている。


この何ヶ月かで、それまでに虚無を突き進んでいた感情という感情が全部蘇ってきた。


むしろ感情のインフレが止まらなくて抑えられない。


推しの声聴きまくってたらそうなってた。


すごい。マジでなんだこれ。


たぶん今のところやっぱり世界で一番好きな声だ。


世界で三本の指とか五本の指に入るくらい声が好きですとは伝えてしまった。


重すぎるかなって思って嘘ついた。


どうしようもなく一番好きに決まってるじゃん。


自分の声が好きじゃないと何度も言う人に、何度も何度も声が好きだと言い続けた。さすがにもう狂気過ぎるから控えようと思っている。可能であれば。


いつもいつでも聴くたびに、きっと好きだと思い続ける。


聴き飽きてしまえるなら聴き飽きてしまいたいくらい、こんなに止まらない欲望に気付いてしまうとは思わなかった。


笑い声聴いてるだけで脳みそとけそうと思えたのは初めてだし、この感覚をどう言葉にすればいいんだって考えたときにこんな表現になるとも思わなかった。


これは一体何なんだろう。


とにかく推しが尊すぎて毎日がしんどいんだ。




世界で一番好きな声が与えてくれた言葉も感情も知識も何もかもに、今は返せるものが本当に少なくて。


ただただ、今日も狂おしいくらいその声を求める僕がいる。


なお、このお話には続くハッピーエンドなんて残念ながら存在しない。


ただただ一方通行の、狂気的な推しという片想いを垂れ流すエピソードで始まり終わる。


幸せなお話を読んで幸せな余韻を遠目に、現実に我に返ろうとしたんだけどさ。


どうしようもなく自己完結するどうしようもないお話に、深夜2時を回りここまで打ってきて変な涙がボロボロ出てきた。


『このお話には続くハッピーエンドなんて残念ながら存在しない。』


自分で打ち込んだ自分の言葉で自分の魂が抉られるようだった。


なんでかとても苦しい。


なんでかとてもかなしい。


あーうんそうか。そうなのか。


とてつもなく軽く送った、久しぶりのはじめましてを思い出した。


こんなにどうしようもないのなら出会い直したくなかったけど、出会い直したからこう感じる自分もいるわけで、無限ループなんだ。


だったらおとなしく日々感謝して、推しの供給をありがたく受け取るのだ。


そしてただ前に進むだけなのだ。


まだ何もかも現在進行形だから。


限界も可能性も何もかもを決めつけんな。


存在しないとか未来を知らないくせに言うな。


物理的な距離はかなりあるし、いろいろ取っ払って現実を見よう。


まず何もかもを縛られきった今の僕に、何をどれだけできるのかなんてまったく分からないけれど。


推しは推せるときに推せ。


散々何年もドルオタやってきて忘れんなって感じ。


いろんな推しから初めてコメントにいいねもらった時のことさえ思い出して、あの気持ち持ち続けろよって思った。


なんだかそこまで考えて、今できることをしようとなり、今日も今日とて読書して勉強して文字を打っている。


感情のインフレが止まらないせいか、長いこと出てこなくて焦ってた言葉もどんどん出てくるのが不思議。


この気持ちがあればきっと、なんでも書ける。書き続けられる。


なんでもかんでも書いているうちに、いつかもう少しだけでも、世界で一番大好きな声に近付いていけるって信じていたい。


自分のことを信じられるのはたぶん自分しかいないとやっと気付けた。




声の人へ。


僕は蒼井托都(あおいたくと)といいます。


この名前では名乗っていないから、万が一辿り着かれた時のために書いておきます。


ここにはあなたにしか伝えてない言葉をたくさん書いた。


あなたにさえ届けばいいと思った言葉もたくさん書いた。


僕は長年とてつもなくひっそりと物書きをしてきたから、きっとあなたには届かないだろうとか思いながらこれを書いている。


言葉の力を信じながら、自分の力なんてものは信じていなかった。


それでも生きててよかったと心底思った、僕が世界一好きな声の人に届けられる言葉があるなら、届けてみたくなった。


重たっ!って全力でツッコまれそうだ。


それでいいです。


どうかこれからも、その声をもっともっと聴かせてください。


いつまでもどうかその声を聴かせてください。


僕から取り上げないでください。


急に消さないでください。


怖くて怖くて堪らないから、いきなり何も言わずに消えないでください。


これが今の僕が感じる、最大級の末期的に狂ってる幸せな痛みです。


今もうこれ以外の痛みがいろいろ吹っ飛んでしまってて、これを緩和しないと先に進めなさそうなんです。


マジでどうしてくれるんすかこれ!


四六時中声聴きたくて堪らないんすわ!!


はーーー推しは尊てえ!!って結論で一回落ち着こうとするんですよ無理なんですよ。


んなもんでもうしばらくは、好きでいさせてください。


なんだかとんでもないことに気付かせてくれて、出会い直してくれて、ありがとう。


たくさん口ベタの話を聴いてくれてありがとう。


感情を思い出させてくれてありがとう。


心は自由でいることを思い出させてくれてありがとう。


声を届けてくれてありがとう。


何から何までありがとう。


称号と付き合いながら生きていこうと思うので、


これからもできればずっと推させてください。


追伸:


視界が晴れて虹が一瞬見えたけれど、下見たらとんでもない底なし沼に堕とされてました。


一年後には沼から這い上がって、またお話することも決め込んでみます。


で、伝わる何かがもしあればいいなって思ってます。




ハッピーエンドの向こう側は、どうか末永く幸せに続いてほしいと、声にまつわるあのnoteを読むたびに、きっと願い続けると思う。




22.05.28

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