第5話

 振り返ると、そこには先ほど私たちを案内してくれた女性がいました。

「あっ、あなたは……」と私が声をかけるよりも早く、「危ない!」という叫び声と共に、女性が私に飛びかかって来ました。次の瞬間、鈍い音とともに、私は床に叩きつけられていました。女性は私の上に馬乗りになると、「動かないで! 動いたら殺しますよ」と大声で言いました。

「おい、お前たち、そこで何をしているんだ!?」と廊下の向こう側から男の人の怒鳴るような声が聞こえてきました。

「助けて下さい!」私は必死になって助けを求めました。「追われているんです!」

「嘘をつくな。大人しくしろ」と男は近づいてくると、私の首筋にナイフを当てました。

「止めろ」と真吾さんが鋭い口調で言いました。「その人を放せ」

「うるさいぞ。動くと刺すと言っているだろう」

「あんたがその人に危害を加える前に、俺が止める」と真吾さんは男に向かって一歩踏み出しました。

「やってみるか?」と男がニヤリと笑いました。「だが、その前に俺の質問に答えてもらおうか。なぜこんなところにいる?」

「それは……」と言いかけたところで、真吾さんの身体がピクリと動きました。そして、そのままの姿勢で固まってしまいました。

「おいっ、どうしたんだ? 返事をしろ」と男が焦ったように言いました。

「無駄よ」と女性が言いました。「彼は今、眠っているわ」

「なんだって?」

女性は立ち上がると、「あなたの相手はこの私よ」と言いました。

そして女性は真吾さんの方へと歩み寄ると、彼の額に手を置きました。すると、一瞬のうちに真吾さんの顔から血の気が引いて行きました。「さあ、これで邪魔者はいなくなったわ」

女性は勝ち誇ったような笑みを浮かべて、私を見下ろしました。「これから楽しいパーティーの始まりよ」

「何が目的なんですか?」

「そんなの決まってるじゃない」と彼女は嬉しそうに目を細めました。「あなたたちの命を奪うことよ」

「どうして僕たちが殺されなくちゃいけないんですか?」

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