第10話 魔核
四人は倒した魔獣の魔核を拾い、休憩を取る。
「これが、魔核……」
「そっか、
「ああ、うん。資料とかはあるけど、実際に手にしたのは初めてだ。これって等級はどのくらいになるんだ?」
「水の三級だと思う」
「そうそう、犬は三級だな」
魔獣や魔樹を倒すと必ずドロップする魔核には、五つの等級と七つの属性があると言われていた。
等級は上から順に、特級、一級、二級、三級、四級。
属性は、赤色の火、青色の水、藍色の気体、緑色の樹木、黄色の金属、白の光、黒の闇。
「三級かぁ、初めて見たよ」
「これで、いくらになるんだ?」
「さあ……」「どうなんだろう」
「討伐清算してるんでしょ? ドロップ品の買い取りも」
「あ、俺たちの場合、魔核は全部、部隊のものとして提出してるんだ」
「へ? それじゃあ追加報酬は?」
「提出した魔核分が給料に加算されてるよ」
「入山許可証の討伐記録を見せず、自己申告?」
「ああ、魔核の数で討伐数は分かるし、それ以外のドロップ品は個人の物でいいって言われてる。もっとも魔核以外のドロップはまだ取れてないけど」
確かに、
倒しても、緊急下山で山を下りる場合、魔核は持ち帰れない。
故に、カードに記載された討伐記録が討伐報酬を得るための事実情報だった。
「ちなみに聞くけどさ、この隊の緊急下山率ってどのくらい?」
「俺たち? 最後に使ったのって、カードをもらった時だよな」
「うん。緊急下山って、あれは緊急時に使うんでしょ? あーそうでもないか、
(疲れたら、使う?)
狩猟隊では、対峙する魔獣の等級は最低の四級ばかりだ。
にも関わらず、多くの場面で緊急下山が使われた。
それは魔獣を倒せないと言うよりは、簡単に怪我をするからだ。
基本的に五人で小隊を組んでいて、一人でも負傷すれば山核を降りた。その怪我の程度によってはすぐに緊急下山が適用された。
怪我とは、行動を阻害し、恐怖を誘発し、隊のパフォーマンスを簡単に下げる。
だから
だが、その力を持っていないにも関わらず、救助隊の面々は三級からさらにその上の等級の魔獣と戦っても、自力で下山している。
その事実に
「
硬直する
「え、いやだって、
「なんだよ、さっき車の中で自分で言ったじゃないか。救助隊第五隊は、全員が異能持ちの特別な集団だ、って」
「あたしが言ったのはそういう意味じゃなくってね……あのね、狩猟隊はね……」
周辺警戒をしながらそれを聞いた三人は、それぞれ反応する。
「俺は狩猟隊も一日だけだったし、比べようがないからさ、ここで強くなるよ。
「……ああ」「……うん」
「なんだよ変な顔して」
「自慢じゃないけど、素人だったのは間違いないよ」
「そんな二人がさ、二か月で三等級の青犬を倒せるんだろ? 確かに装備のおかげもあるんだろうけど、俺だって強くなれると思ってもいいよな」
「みんなに異能はなくても、ここじゃあたしの技能も目立たないね」
「目立つ目立たないは抜きにしても、私はそれ、すごいと思うし、いざというとき頼らせてほしいな」
それでも
同時に、技能を取得している人間がどう思われるか、必要以上に気にしていた自分に気付く。
(なんとか、やっていけそう)
四人はそれから魔樹とも戦った。
破裂する実を放出する中距離攻撃型の相手だったが、遠距離からの“射”で削り、
緑色の四級という魔核ではあったが、彼は初めて手に入れた魔核を、両手で大事そうに握りしめていた。
◆
「
宿舎で
内容は『
それはつまり、
思わず反射的に『どういうこと?』と送ってしまった。
『他意はないわよ。なんなら
『
『用というわけじゃないけど、連絡手段は確保しておきたいだけよ。ちなみに
そんなやりとりを経由すると、
「はいはい、って、どした?」ノックをするとすぐにドアが開き、隊服のままの
「ちょっといい?」
隊の規則として異性の部屋に立ち入ることは原則禁止であるため、
廊下の左右を見回した
「はあ、アドレスを教わるぐらい大したことじゃないだろ? もし
「とにかく。私の悪口でも言われちゃたまらないから、どんなやりとりをしたか、教えてほしいんだけど」
「悪口? 褒めることや感心することしかないけど?」
「と、とにかく! あの二人のことと、私たちのことに隠し事はなし!」
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・広大と優実は見たこともない等級の魔核を見て、改めて第五のメンバーの強さを実感する。特に優実は、自分が得た技能を使う機会は少ないと判断していた。
宿舎に戻ると、百合香のスマホに真理からのメールが届いていて、開に真理のメールアドレスを伝えてほしいという内容だった。
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