塵取り不在

2020

べチャリ。

顔も名前も知らない誰かの軽薄な生活に、

踏み潰されていくのだと思った。

ガシャン。

四方八方から降り注ぐ視線の檻に、

理由ひとつで閉じ込められるのだと思った。

白にもなれず黒にもなれない、

濁って掠れて歪んだ何か。

どこにも行かない。

どこにも行けない。

行く宛も無い。

許可も無い。

耳を塞いでひとりになって、

声も上げずに目を閉じる。

おやすみなさい。

また明日。

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