この作品はご都合主義です。
しかし、全てにおいて「主人公の都合の悪い」方向に転がる物語となっています。
チートありハーレムあり、けれど主人公の決断力の無さ(場に流されやすい)と致命的な運命力の無さのせいで、よくあるなろう小説の様にならず、どんどんおかしな展開になってしまいます。
望まずに変態の称号を手に入れてしまった空気の読めない主人公のせいで、生きるはずだった英雄が死に、死ぬべきであった愚者が生き残り、滅びゆく大帝国は歪な延命をしてしまう。後世の歴史家と読者にとってストレスになりそうな展開も、何故か楽しめてしまう。そんな不思議な戦記ファンタジーです。
作者さんの筆力と驚異的な更新ペースは圧巻です。エタる心配もなく楽しめる作品だと思いますので、是非ご一読ください。
だけど主人公は、ほとんど決断を下しません(マジで下しません)
ほぼ全編周囲に流されてます。
大きな決断も最初は死にたくないからとか、次は「本命」とか
そんな感じですね。
決断する理由もゲスい理由が多いです。
具体例を出すといい身体だから助けるとか。
非常に共感し辛い主人公です。
ナチュラルにゲスい思考してます。
ゲスいというよりかナチュラルに敵うわけないだろ?なんというか下に見てます。
能力的にほんまに敵うわけないのでその通りなんですが、ポロッと本音が出ると下に見てると言ってますね。
そこら辺読者から突っ込まれてますね。
そんな感じで悪いところを上げましたが、
いい点はキャラがクッソ面白いところである。いやぁ、なかなかスゴイですよ。
流され主人公の周りに個性的キャラが多数集まってなんだこれ……なんだこれ!?と夜中にお忍び診療のアレをアレするところとか顔が宇宙猫になりましたわ。
まあ、話の本筋は国家衰退なので
何処かで主人公がナニカを決断するのを楽しみに読ませて頂いております。オヌヌメ。
面白いです。
下ネタがちりばめられたというか、この世界観ではこうにしかならないというか、ある意味リアリティーに富んだコメディー。
なので、構成がどうのと言った話をするのは野暮でしょうし、単に楽しむのが正しい読者w 艶笑話の落語を聞いてるような、「うまい」と言われる人の座談を聞いているような。
時として下品に落っこちそうになる不安定さも一興かな。
魔法要素を控えめにしながらも、ファンタジー要素でご都合的な部分をかわす手法は、かの「ゲート」に通じるところもあり、作者さんは世界観だけ練りこんで後は楽しんで書いてるんじゃあないかなと思える作品です。
男女比に大きな差がある世界でのファンタジー小説はライトなものが多いと思いますが、この小説はしっかりと考察されていて重厚で読み応えがあります!
個人的には面白いファンタジー小説の3要件を満たしていると思っています。
1つ目はオリジナリティのある世界観で、前述の男女比の差によって生じる社会システムや文化をしっかりと作り上げています。
2つ目はダレないストーリーで、物語が単調に進むのではなく各章で起承転結の展開がしっかりと描写されていて読んでいて読者を飽きさせることが全くありません。また、政治、学問、医療、戦場をしっかりと書き上げている点も凄いと思います。
3つ目は主人公への感情移入で、転生して無敵になるタイプの主人公に感情移入することは中々難しいですが、トンデモ文化な世界でカルチャーギャップに苦しむ主人公には否応なしに感情移入するしかありません(笑)。
男女比に大きな差があるファンタジー世界の作品に苦手意識がある人にも是非読んで貰いたい作品です。