第7カード

「この前伝えた通り、8月13日にリトルリーグの女子チーム、"ルガルドボール"との試合があります。この試合は鯉ノ崎中学女子硬式野球部にとって初めての試合です。出来うる限りの練習をしてから臨みたいと思っています。皆で一緒に頑張りましょう!」

「はいっ!!」


 いつものように部員たちに指示を出し、私は守備練に入った。私はセカンドを専門としている。セカンドを選んだ理由はいたって単純で、一番好きな選手の守備位置だからだ。

セカンドは守備範囲が広く、打球も多く来る位置なため守っていてすごくやりがいがある。


どのように送球すれば相手が取りやすいか、どの位置にいればボールが取りやすいか。どの守備範囲も例外はないが、そのたった1プレーが濃密でとても重要だ。


どんなコースで来るんだろう。どんな速さで来るのだろう。

試合のことを思うと自然に昂る、この気持ちの全てを野球にぶつけたい。


「お願いします!!」


少しでも上手くなるために、今日も明日も明後日も、私はここで白球を追いかける。


変わらず微笑みながらノックする監督の夢が叶うように。


今も部員のためにせっせと夜食を作ってくれている冬遥とはるたち調理部部員の気遣いに報えるように。


大好きな野球をこれからも楽しんでプレイできるように。


大きな球場のグラウンドで汗と笑顔を輝かせているあの選手たちのように、私もまた。

『勝鯉』のために、どんな場所でも駆け抜ける。







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勝鯉のために 雪蘭 @yukirann

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